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妖怪・風習・伝奇

ぴさんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

二度救われた命
長編 2023/03/10 17:03 11,503view
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祖母の家は誰が見てもど田舎で、さらに整備しきれていない道を突き進んだ山の奥にありました。

車で行くだけで困難なほどにガタガタした山道で、だけど私たち兄妹はそんな祖母の家に遊びに行くのを楽しみにしていました。

都会に住みなれていた私たちにとって、そこは神秘の世界で、田舎の町の静かな雰囲気や自然豊かな眺めがとても好きだったのです。

だからその日も私は祖母の家に行く日をわくわく楽しみにしていました。

その日、あいにく天候が悪くて視界が悪い中、父は運転をしていました。

山道なので、気を付けないと落石や土砂崩れなどがあるかもしれません。

父は細心の注意を払って、運転に集中していました。

その間、私は無邪気に窓の外を見ていたのですが、そのとき視界に妙なものが映ったのです。

ありえないのですが、球体の真っ赤に燃えているものが目の前を通りすぎました。

分かりやすく言えば、燃え上がる火の玉のようなものです。

それが私の前を過ぎていき、慌てて兄の袖を引っ張って、「見て」と言いました。

前日部活でくったくたになるまで走らされていた兄はそれまでは車の中で眠そうにうとうとしていたのです。

それが私にたたき起こされてすごく不満そうでした。

それでも私が指さす先を見ると、面白いくらい反応がありました。

まるで急に目が覚めたように目をかっ開き、ぱちぱちと何度も瞬きをしたのです。

二人してその火の玉もどきの行方を目で追うと、私たちが向かっている祖母の家の方向の森の中に消えていきました。

私と兄は二人でそれを見届けて、「今の見た!?」と二人ではしゃぎました。

火の玉のようなものを見て、興奮したのです。

真っ赤になって興奮する私とは違って、兄は少し青ざめてもいたように思います。

とにかく子供だった私たちは先ほど見てしまった未知のものに大変驚かされたのでした。

祖母の家に着くなり、私と兄は二人して祖母に、火の玉を見たと報告したのです。

父も母も子供の戯言だろうと笑っていましたが、私たち兄妹はさきほど見たものを身振り手振りを使って話しました。

こういう火の玉のようなものが森の中に消えていったと話したら、そしたら祖母がなんだか浮かない顔になりました。

祖母の家のあたりには昔古い集落がありました。

人がどんどんいなくなり、今はもうやっていないのですが、そこで年に一回地域の人が集まるお祭りが行われていたそうです。

そこで吉凶を占うために、火の玉占いという火を使った占いをされていました。

その占いによると真っ赤な炎が燃え上がると何か災いが起こる前触れとされているようでした。

だから祖母は私たちが話していた火の玉の話で浮かない顔をしたのです。

祖母は私たちを酷く心配してくれて、「今日はそのまま泊まっていきんさい」と引き留められました。

父は翌日仕事があったので、それは無理だと一度は断ったのです。

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コメント(1)
  • 真っ赤に燃え上がると災いが起きるのではなく、
    災いがすでに起きていてその怪異から守ろうとして燃え上がってるのかな

    お祭りの誘惑に負けたりして助からなかったケースが凶事として言い伝えられてるのかもね

    2023/10/05/11:19

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