先輩がハゲたワケ (加筆修正版)
投稿者:kana (210)
先輩は少し怒ったような顔で睨みながらこう続けた。
「じ、冗談じゃないぜ!その夢を見て飛び起きて・・・」
先輩の顔が暗くなって、小声で言う
「枕の周りにオレの髪の毛が大量に散らばってんだ・・・血も出てた・・・まるで鬼に引きちぎられたみたいに髪の毛がごっそり抜け落ちてたんだよ!」
オレは顔がニヤケないように気を付けながら先輩に返した。
「い、いや、先輩それはきっとストレスかなんかで寝てる間に自分で抜いちゃってたんスよ、落ち着くっス!・・・鬼から逃げられたんですからもう大丈夫っスよ!」
「・・・そ、そうか・・・大丈夫か・・・そうだよな大丈夫だよな・・・ははは」
力なく笑う先輩。
「じゃ、仕事に戻りましょ先輩!オレらの部署はまだストップがかかったわけじゃないッスからね」
「そ、そうだな、まだストップが・・・・・・まだ!?」
しばし立ち尽くしている先輩をよそに、オレはさっさと自分の仕事に戻った。
(先輩・・・A先輩もB先輩も、みんなでさんざんボクのことをネチネチといじめまくってくれましたよね。もう先輩たちに合わせて汚い言葉で話すのも疲れてきた所なんですよ。
知ってましたか先輩。あの慰安旅行で行った場所。肝試しだって言って夜中連れ出されて行ったあの神社。・・・有名なんですよ、恨みを晴らしてくれるってね。
あんたら、あそこで何やった?お参りだぁ?
夜中だってのに境内で大騒ぎして、鳥居によじ登ったり、挙句お地蔵様の頭を蹴り落としたり。罰当たりなのは十分だったが、オレはそこで密かに願ってたんだよ、先輩たちに天罰が下ります様にってね。そう、あんたらがバカやってるときに、オレは一心不乱に念じてたんよ。
・・・その日からだね。オレはとってもイイ夢を見るようになったんだ。
オレは夢の中で力あふれる強い鬼になって、A先輩をたたき殺し、B先輩を釜茹でにし、そして次はあんたかと思って捕まえようとしたんだが、髪の毛がちぎれて・・・まぁうまく逃げられたわけだ)
「でも、次の夢ではかならず捕まえるからな、待ってろよ」
(おっと、つい言葉がもれちまった・・・さて、今夜が楽しみだね)
そのハゲた先輩は退職されたでしょうか?気になります。
逃がすわけ、ないやん。
捕まえたんですね
人の恨みは買わないようにしたいと思います。