自殺への誘い_(加筆修正版)
投稿者:kana (210)
横を向いて寝ていたのですが、顎を動かした拍子に「カツン」と上の歯と下の歯がぶつかったのがわかりました。
実はその前日に歯医者に行っており、新しい差し歯を入れたばかりでした。
部位は左上の小臼歯、いわゆる犬歯というやつです。それがカツンとぶつかった。
歯医者さんでの噛み合わせの調整が完全ではなかったのか、今、その歯が下の歯にぶつかって自分のクチをちゃんと閉じることができないのです。
今頃になってそんな事に気づいてしまって・・・だからと言ってどうすることもできません。どんなに顎に力を込めても口を閉じることができないのです。このことでだんだん顎の関節部分が痛くなってきました。
イライラが募ります。深夜の幻覚から、不眠症で体は泥のように眠いのに、
神経だけが高ぶって頭は高回転、オマケに口が閉じれないというトラブル。
すぐに歯医者に行って高さを調節してもらいたいと思うも、まだ朝の6時。開院までにはまだ3~4時間はかかる。
ボクは寝ることも起きることも、口を閉じることもできない状況の中で、強烈な心理状態に陥りました。
今まで生きてきた人生の中で一度も体験したことのない『強烈な不安感』と『孤独感』が入り混じったような感情です。
なかなか説明が難しいのですが、強烈過ぎて心臓を鷲づかみにされているような感覚に陥るほどでした。
ボクは窓から入ってくる太陽の光を見ながら、窓の外が無音であることに気づきました。
まるで世界から隔絶されたかのような静けさです。部屋の中がやけに真っ白で、出口のない四角い部屋に閉じ込められたかのように感じました。
ボクはこの時、不思議なことに自分の体の中に「魂」のような存在がある感覚に襲われました。本当の自分は『ピンポン玉』くらいの『魂』そのものであり、それが人間というガランドウな殻の中に閉じ込められて、頭の先からつま先まで、真っ暗な殻の中を飛び回ってあちこちにぶつかり、何とかしてこの殻をやぶって外に出て自由になりたいと、そんな感覚に陥ったのです。
・・・今思い出してもすごく不思議な感覚ですが、この時ボクは良いことを閃きました。
「そうだ、このマンションの屋上から飛び降りて、顎から地面に叩きつけられれば、
きっと顎も閉じることができるし、体もどこかに穴が開いてボクの魂は殻の外に出ることができるはずだ!」
ボクは自分がマンションの高所から飛び降りて地面に叩きつけられる姿を想像してみました。(・・・なんと清々しい気持ちよさ!爽快な気分!!)
自分は高いところが怖いはずだったのに、なぜか今は飛び降りたくてワクワクしはじめているのです。
「そうか、今日がボクの命日だったんだ!そうかそうかwww」
ボクは自分の考えにすごく納得し、うれしくなって立ち上がり、外に出ようとしました。
ところがここで不運なことに、と言うか幸いなことに、このマンションは5階建てなのですが、エレベーターがなく、5階までは階段を使わねばなりません。
もしもエレベーターがあったなら、このまま一気に5階まで行ってあっという間に飛び降りていた所ですが、前日からの不眠で体が泥のように重く、階段を一歩も上がることができませんでした。
ボクはトボトボと部屋に戻り、床にばったりと倒れ込みました。
そこには猫がおりました。
ウチで飼っている、というか、本当は野良猫なのですが、いつのまにかウチに上がりこんで
我が物顔で暮らしている猫です。そいつがノンキに床で寝ていたのです。
ボクは猫をもふってやりました。人の気など知らぬ猫は、もふられて目がとろ~んとしてきてもっともっとと甘えてきます。
そんなことをしているウチにボクの頭も少し冷静になってきました。
「こんな喜んで自殺したいなんて、自分は頭がおかしくなっているんじゃないだろうか?
これは思い切って精神科の病院にでも行った方が良いんじゃないだろうか?
うん、少なくとも自殺するよりそっちの方がまともだろう。第一、死んだら死んだで
田舎に残してきた親兄弟に途方もなく迷惑がかかるし・・・マズイよそれは・・・」
kamaです。
このお話は100%実話ですね。心霊じゃない・・・と思いたいですが、
精神の世界は不思議で、とても貴重な体験をしたと思っています。
とくに自分はピンポン玉くらいの存在で・・・という体験は貴重でした。
あと、文章内では5年通院となっていますが、その後10年、20年にわたってぶり返しそうになったり、悪化して発作寸前まで行った時もありましたので、この症状は一生つきまとうものなんだろうな、とあきらめている部分があります。今は薬は飲んでいませんが、今でもお守り代わりに持っています。新時代のお守りです。
先生の過去は凄まじいものがありますね。よく考えたら誰しも起こり得るから怖い。
↑kamaです。コメントありがとうございます。
そうですね、体験はしないに越したことはありませんけど・・・
パニック障害って良く聞くし、どうってことないように感じますが、
本当に「発作」のように襲ってくる強烈な不安感と孤独感が混じったようなあの感覚は
「今すぐ死んだ方がマシ」と思えるような恐怖感があります。
みなさんももしそんなことになったら、急いで心療内科へ向かいましょう。
死んでからじゃ遅いですからね。
死ななくて良かったです(T . T)