津波の被害があったとある街の、とある橋の話。
2011年の震災で、今でこそ復興を遂げたが、
直後はそれはそれはひどいものだった。
私は仕事柄、被災地へ赴くことが多かった。
震災から数年、徐々に復興しつつあるその街で、
不謹慎かもしれないがとある怖い話があった。
H橋という、けっこうな車通りがある橋がある。
津波の直前、あんなに大きな津波が来ると分かっていなかった人たちが、
その橋の上で津波が来る様子を動画に収めたり、見物していた。
遭えなく津波に流されその人たちは亡くなってしまったわけだが、
津波が引いた直後のその橋はひどいものだったらしい。
橋にひっかかる多数の遺体。
自衛隊の方々は凄惨な現場を目撃し、精神を病んでしまう方もいたそうだ。
ある程度のライフラインが復旧し、街に活気が戻ってきたころ。
そのH橋では多数の心霊現象が起きているという噂があった。
橋にひっかかった遺体が見えた。
人を轢いたと思ったら誰もいなかった。
車のガラスに多数の手形がついていた。
ありきたりだが、一時通行止めになるくらいの騒ぎだった。
通行止めになる直前、とある若者が肝試しに、とH橋に行ったようで、
今回の話はその若者の話。
被災地より内陸にある都市部に住む若者Aは、
被災地に住んでいた友人Bに上述の噂を聞いた。
友人Bの無事を喜びつつ、ふと会いたいと思ったA。
そしてホラー映画好きのAは、自ら心霊体験を経験してみたくなり、
Bに誘われるがままにH橋に赴いた。
うわ…
そう言う人たちがいるんだろうな……
今も。
放射線の影響ならアリエールな