お墓参りにて
投稿者:せいぎ (10)
短編
2022/11/24
17:58
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それは、私が久々に祖母のお墓参りに行った時のことでした。
祖母の家はかなり遠方にあったため、そう頻繁にお墓参りに行くわけにもいかず、また私の家族以外には身よりもない人だったので、きっと雑草なども伸び放題伸びていて、掃除が大変だろうなあという気持ちでいました。
ところが、実際にお墓に行ってみると、雑草が全くないどころか、墓石もピカピカ。墓前には祖母が好きだったお菓子のお供え物までしてありました。
家族の誰かが先に来ていたのだろうか、などと思っていると、「こちらのお墓の方ですよね」と突然後ろから女性の声が。
振り向くと、たいへん色の白い、60歳ぐらいの女性が立っていて、「ウチのお墓と間違えて、おばあさまのお墓を掃除してしまったんです。ごめんなさいね」とのこと。
なんだそうだったのかと思い、その場は笑って応対したのですが、少ししてから考えると、すぐに何かがおかしいことに気が付きました。
お墓にはせいぜい名前しか掘っていないのに、どうして私の「おばあさまの」墓だとわかったのか、どうして祖母が好きだったお菓子まで知っていたのか。
すぐに辺りを見回しましたが、その女性の姿はどこにもなく…。なんだかゾッとして、それ以来、祖母の墓参りには行けていません。
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