深夜、じっとこちらを見ていた顔
投稿者:せいぎ (10)
私が中学生の時のことです。
その日は普通に眠りにつきました。
深夜、私はトイレに行きたくなって起きました。
私の部屋は2階にあり、トイレは1階にしかないので階段を使って1階に降りました。
トイレをすませ、ドアを開けると電気の消えた暗いキッチンが視界の端に見えます。
ふと人の気配がしてキッチンの方に行くとキッチンにある冷蔵庫の前に誰か立っていました。
家には私と両親しかいないはずなので、母と父のどちらかだと思って「どうしたの?」と声をかけました。
深夜でみんな寝ているはずの時間なのに何をしているんだろうと思ったからです。
ところが返事がなく、不審に思った私は、半分寝ぼけながらも立っている人の顔をまじまじと見ました。
すると見たことのない70代くらいの男性がじっとこちらを見ているのです。
とても怖くなってその場から逃げようとしましたが、足がすくんで動かず、恐怖で声をあげることもできませんでした。
すると1階の両親の寝室からガタっと音がして母が出てきました。キッチンの前で立っている私を不思議に思ったのか私の名前を呼びました。
振り向いた私は声が出なかったので、母に必死に目で訴えました。母は不思議に思いキッチンの電気をつけました。
その瞬間、もう一度冷蔵庫の方を見ると立っていた男性は消えていました。
その後母に男性のことを話しましたが、「寝ぼけてたんじゃない?」と言って笑われてしまいました。
私も話しているうちにだんだん恐怖が薄れてきてその日は眠りにつきました。
次の日、家に電話がかかってきて両親が何やらバタバタしていました。聞けば近所の顔見知りの方が昨夜線路に飛び込んで亡くなったそうです。
私が昨夜見たのはその人だったようで、時間的には亡くなった後のようでした。
なぜうちに来ていたのはわかりませんが、じっとこちらを見ていた顔は未だに忘れられません。
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