私が彼氏と県外に遊びにいったときの話です。
知らない土地に遊びにきて、ドライブがてら山の方に向かいました。
最初は楽しくドライブしていたのですが、途中で迷子になって、山から出られなくなったのです。
周りはどんどん薄暗くなってくるし、道は分からないし、二人の会話もすっかり減っていきました。
お互いについ八つ当たりなどもして口論になり、かなり険悪ムードになっていたと思います。
そんなときに道が分岐する場所に古い看板が見えてきて、その前に女の人が立っていました。
それを見て私はぞっとしました。
だってこんな真っ暗な時間に、髪の長い女の人が看板の前で指をさしているのです。怖い以外に感想がありません。
絶対に生身の人ではないと思ったし、彼氏と一緒に「どうしよう!?」と焦りながら、とりあえず女の人が指さす方向に曲がったのです。
そしてしばらく行くとまた道が分岐し、看板が見えてきました。
そしてまた同じ女の人が指さしているのです。背筋が寒くなりました。
私と彼の顔は真っ青だったと思います。
とにかく無言で、彼は女の人の指さす方向へ車を進ませました。
このやり取りがこの後何回も続きました。
私は次第に行ってはいけないまずい方向へ道案内されているんじゃないかと不安になりました。
しかし次の看板の前にはあの女の人がどこにもいなくて、二人でふーっと息をつき、そこに車を一時停車させたのです。
「いないね」と私は彼に同意を求めると、彼は無言で頷きます。
しばらくそこで休憩を取り、よし出発しようと思ったときに、「次は右…」って声が後部座席から聞こえたんです。
一瞬で私は鳥肌を立てました。
彼が車を急発進させ、右に曲がりました。
そしてそのまま山を駆け下りて国道に出ることができたのです。
怖すぎて一度も後ろを振り向かなかったので、私は道案内する女が車の後部座席に乗っていたかどうかは分かりません。
ただ運転手をしていてミラーを見ていた彼は目撃したんじゃないかと思うのです。
道案内する女は、私たちを騙すことなく元の道まで送り届けてくれました。
信じて良かったと思うと同時に、あの後もし、気づいたら崖が見えてきたりしたらどうしようとドキドキして震えていたことを思い出します。
親切な方だったのですね。
結果的に助かったけど親切なのか迷惑なのか困った霊ですね。
優しい幽霊で良かったですが、案内の逆に行ってたらぞっとしますね。
自分も山から降りたかったんですね