生首を連れた男
投稿者:神助 (16)
考えても分からないので、ひとまずこの事は忘れよう!
そうして私たちは仕事に戻った。
このときこれが全ての始まりだとは知る由もない。
数日後、またいつもの様に商品整理をする。
4メートル先にはIさん。これまたいつもの様に独り言。
「ああ、Iさん今日も相変らず何か言ってるな」
ふとIさんの方に目を向けた。
「!!!」
私は思わず二度見した。
Iさんの顔ギリギリの距離に女の人の生首が視えたのだ!
しかもIさんをじっと見ている。
あまりに異様な光景に気持ち悪いと感じた。
その顔は長い髪の毛で3分の2くらい隠れており、虚ろな目をしている。
そっと目をそらし、腕時計に視線を向ける。
あ、もう上がる時間だ。
見なかった事にしよう。
「お先に失礼しまーす。」
そう言って私は売り場を離れ、二階にあるロッカールームへ向かった。
自分のロッカーからカバンを取り出しロッカーの戸を閉める。
歩きだし3歩目で『バン!!』
突然大きな音と共にその先にあるひとつのロッカーが勢いよく開いた。
私はすぐに気づいた。
このロッカー、Iさんが使ってるところだ。
益々気味が悪い。
そう思いながら私は職場をあとにした。
その日の夜、布団にもぐりながらスマホを見ていると、ふと今日あった出来事を思い出した。
丁度その時今日休みだったFさんからLINEが来た。
内容は至って普通な世間話的なもの。
そうだ、今日あった事をFさんに話してみよう。
Fさんも『視える人』だったので、変わったものが視えたりするとよくお互いに報告しあっていた。
どういう事情…