私の友人から聞いた話
今から20年以上前の話。
私の友人が勤める会社は、それなりに忙しい業種で、勤めている人の中には、メンタルを病んでしまう人もそれなりにいた。
そんな会社に、Aという社員がいた。
Aは、気が弱く、いつもオドオドしていたため、所謂パワハラ上司からターゲットにされ、精神的に参ってしまい、休職扱いとなってしまった。
それなりの期間が経ち、Aもそろそろ復帰してはどうか、という提案がなされた。
人伝に聞いた話なので、会社側からの提案がどのようなものだったかはよくわからないが、どうも配置換え等はなく、パワハラ上司の所属そのままの復帰になる、とのこと。
しかし、Aはそれを了承し、復帰の日取りが決まった。
復帰の予定日、Aは出社してこなかった。
会社側は、Aの親御さんに連絡したが、親御さんも連絡がつかないとの事。
親御さんがAの自宅アパートに様子を見に行くと、Aは自宅内で、自ら命を絶っていた。
Aの葬儀が執り行われ、当然会社側も見舞いを寄越し、B部長という、Aの直属とは別の役員クラスの人間が列席した。
その帰り道、B部長が車で帰宅しようと乗車し、エンジンをかけようとしたところ、助手席に人影があった。
助手席にAが乗っていた。
ただ、Aはすごく小さかった。
ぬいぐるみのようなサイズで、何を言うでもなく前だけを見て座っていた。
B部長はあまりの光景に絶句していたが、そのうちにAはふっと消えてしまった。
B部長が、別の飲み会でそのことを話題にし、その際に
「彼は小心者ではあったが、死んでしまった後に化けて出る時ですら、気が引けて小さくなってしまっていたのかな。」
と言っていたのが印象的であった、と友人は語っていた。
ハラスメントが取り沙汰される昨今、それに起因した悲劇も後を絶たない。
しかし、少なくとも私は、職場に化けて出た、とか、そういった怪談話を聞いたことがない。
それは、どこか気の弱い、遠慮がちな人々がターゲットにされ、それらの人々は、恨みをぶつける事すらも躊躇してしまい、小さくなってしまっているのではないか、という考えに至り、なんとも遣り切れない気持ちになってしまった。
Aのような存在は、実はそこかしこに存在しているのかもしれない。
しかし、彼らの「気の小ささ」故に、我々の目には映っていないのかもしれない。























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