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意味怖(意味がわかると怖い話)

件の首さんによる意味怖(意味がわかると怖い話)にまつわる怖い話の投稿です

メルヒェン的疎通
短編 2022/11/15 21:44 2,412view
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 虫が小さい頃から好きだった。
 虫と話が出来れば良いのに、と両親に話したら「お前は夢があるね」と笑っていた。
 大人になってからも、虫好きは変わらなかった。
 虫と話は出来なかったけれど、求める事は何となく理解出来るようになった。

 その日も僕は出勤し、業務に入る。
 電話の向こうで相手の人が別の社員を呼べと怒鳴っているが、同僚を見ると指でバッテンを作っている。
 いないと言わなければならないらしい。
 とりあえず電話の相手に謝り続ける。
 うるさい。
 アオマツムシだってもっと上品だ。

 夕方になって、同僚達はちらちら片付け始めている。
「きゃあっ!」
 給湯室の方から声がした。
「なにこれ」

「殺虫剤は!?」
 虫がいるようだ。
 思わず、僕も見に行く。
 そこには、ゲジゲジが1匹、もぞもぞと所在なさげに歩いていた。見慣れない子だ。外から紛れたのだろう。
 と。
 いきなり横から同僚が、殺虫剤を吹きかけた。
「よせ」
 思わず僕は、同僚を突き飛ばす。
 同僚は何か大きな鳴き声を上げ騒ぎ始める。
 僕の周りに他の同僚がたかりはじめる。
 気持ち悪い。
 突き放そうとしてもまとわりつく。
 そうだ。
 こんな事もあろうかと。

 ポケットからナイフを取り出して切る。
 同僚は首の辺りが弱点だ。
 内骨格生物の構造は分かりにくいが、外皮が薄く刃物に弱い。
 虫の骨格はあんなに継ぎ目が分かり易く美しいのに。
 たかっていた同僚は、離れた。
 ああ、良かった。
 本当、内骨格は分かり難いな。
 ここはどうだろう。
 違うか。
 もっと奥が継ぎ目かな。
 この刃じゃ、しっかり内骨格まで届かないや。
 ああそうだ、ゲジゲジ。
 ゲジゲジを探したが、もう姿はなかった。
 無事に逃げる事が出来たようだ。

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関連タグ: #声#夢#電話
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