標的
投稿者:件の首 (54)
短編
2022/11/04
21:17
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退院後、初登校。
胃が痛む。
通学路のざわつきがきちんと聞こえる。
考えてみれば、あの日、朝から静まりかえっていた。
校門を通り、上履きに履き替え。
そして、教室に入る。
「――おはよう、退院おめでとう!」
皆の声がした。
えっ。
笑顔に囲まれる。
良かった。
ふと。
輪の外に、1人残されている子がいた。
「ああ、あの子」
「気にしないで良いよ」
「そうそう、あなたが入院した時、『シカトされた、やり返してやろう』って言ってたのよ」
「耳が聞こえないっていうのに、あり得ないよね!」
そうか。
次の標的は、出来ていたのか。
安堵から涙がこぼれる。
早速何か文句でも言おうか。
いや、被害者っぽくしていた方が良い。
丁度、涙も出ている。
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