土管の空き地
投稿者:件の首 (54)
小学生の頃、自宅から少し離れた空き地に、土管が置かれているのを見つけた。
国民的漫画かアニメでしか見ない架空のものと思っていたため、僕も友達のAも興奮気味だった。
今思えば、工事の資材置き場だったのだろう。少なくとも、例の空き地よりもずっと土管は高く積まれていた。
僕とAはそこに忍び込んで遊んだ。
土管の中に入って寝転んだり、上に立って歌ってみたり、ある程度漫画の再現が終わってから、僕とAは新しい遊びを考えた。
土管の上でする尻相撲だった。
土管は5段。意識して飛び降りれば怪我はしない高さだった。
Aはなかなか強く、僕は何度も負け、土管から飛び降りる羽目になった。
負けの数が増えた事にだんだん僕は苛立ち始めた。
そして。
「最後に一番、大勝負しようぜ」
と持ちかけた。
最後の尻相撲は、互いが土管の端から始める事にした。土管の上を後ろ向きに助走して激突するという、かなり危険な勝負だった。
かけ声と共に、僕達は動いた。
僕は。
土管を一段降り、横に避けた。
ぶつかると思った僕がいなかったため、Aはそのまま仰向けに土管から落ちてしまった。
2日後、警察がAを発見した。
資材置き場の近くの用水路に沈んでいたため、発見が遅れたという噂だった。
死因は溺死だった。
Aが発見された翌日、僕は例の資材置き場の土管の傍らで気を失っているのを発見された。
脳挫傷になりながらも一命は取り留めたが、記憶は曖昧だ。
尻相撲の相手もいないのに、何故そこにいたのか分からない。
思い出そうとする度に、どうももやがかかってしまうのだ。
何だか怖いですね。
ど根性ガエルはそうやって生まれたんだぞ。