責任感の強い田中君が亡くなったら・・
投稿者:あかりさん (6)
私が大学生のときの話です。10年以上前の話になります。
私は工学部に在籍し、代数の授業を受けていました。結構、むつかしい内容だったので、一生懸命ノートをとって勉強していました。
四国の同じ高校から、関西の大学に進学した田中君とは、同郷ということで自然と親しくしていました。
私は霊感がかなり強いということ以外は特に、目新しい学生ではなかったですが、田中君はラグビーの選手として有望で、よく遠征で試合に出ることが多い学生でした。
自然と田中君には授業のノートを貸し出して、内容を先生の代わりに教えてあげるということも行っていました。
試験の時期があり、全ての後期試験が終わり、下宿で私がのんびりしていると、突然田中君が訪ねてきて、「ノートを返しに来たよ。助かった。とてもありがとう。上がりたいけれども、もう一人あっておく人がいるから・・」と告げて、あたふたと去っていきました。
少し変な感じがしましたし、いつものんびりしている田中君しか見たことがなかったので記憶に残っています。
翌日、授業に出ると教室には田中君が来ていたのですが、大講堂の授業だったことと、私は次の授業があるので出ていき話すことが出来ませんでした。
夕方訃報が入りました。田中君の死亡の知らせでした。自宅で縊死しているのを訪ねていた友人が見つけたそうです。何か追い込まれるようなことがあったらしく、それが原因で自殺したようでした。亡くなったのは二日前の昼間ということでした。
彼は非常に責任感の強い男だったのが、裏目に出たようでした。死んだ後も、借りたままになっているノートのことが気になっていたと思われますし、授業にも出ないといけないと考えていのだと思います。
悲しい出来事でした。
目新しいね。