祖父が大切にしていた日本人形
投稿者:あかりさん (6)
子供の頃から私は人形が好きでした。
祖父が私を可愛がってくれて、いろんなものを買い与えてくれましたが、私が人形好きなのを知ってからはいろんな人形、フィギュアを玩具店に出かけては買ってきてくれました。
祖父自体は日本人形を集めるのが好きだったので、私の人形好きは遺伝だったのかもしれません。
私が祖父の家に遊びに行ったときに、祖父が大切にしている日本人形を見せてくれて、私が大変気に入ってしまいました。
子供の事だから、パッと見て気に入っただけで、一過性の「好きこれ好き」だったのですが、祖父はその日本人形を私にくれました。
「じいちゃんが大切にしていたから、大事にしてくれよ」と笑いながら私にくれたのでした。
もらった私の方は、もらってきたときに少し飾った後は、そのまま箱にも入れず押し入れの奥に押し込んだままにしておきました。
あるとき、押し入れの中で積んであるものが崩れて、中のものが雪崩のようにひろがってしまいました。
子供の私は、そんなときも押し入れの中を確認せず、放置していました。
半年ほどして、階段を踏み外して足を骨折して入院した祖父の見舞いに行きました。
その後、「人形大切にしているかな?」といわれたのを思い出して、家にかえって人形を見て見ました。
人形は、いろんなものの下にあり、足が取れかけていました。ちょっとギクリとなりました。
人形が足を痛めたときに、それを大切にしていた祖父が足を骨折していたからです。
しばらくして、地震がありました。私の家も少し揺れて、あの祖父にもらった人形も展示台から転げ落ちてしまいました。
その時に、人形はくびがとれてしまった胴体から離れていました。
家族の者は「あああ・・大変だ」と笑いながら対応していましたが。私は何か嫌な予感が走りました。
体調を崩していた祖父が、亡くなったのはその二日後のことでした。
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。