隣の家のおばあちゃん

驚きと恐怖で開いた口が塞がらず、声も出なかった。

おばあさんのことを観察していると、我が家が出したゴミを盗むわけでもなく、ただただ物色している。

本当に気持ちが悪かった。

「今日はあえて声はかけず、次のゴミの日も様子をみよう」とカレに言われ、この日は何もしなかった。

次のゴミの日。
カレがゴミを出してくれた。

この日は私ではなくカレの方が先に仕事から帰宅した。
車を駐車し、家に向かっている時に平屋に住んでいるおばあさんが声をかけてきたそうです。

おばあさん「こんばんは。今仕事の帰り？」
カレ「はい」
おばあさん「遅い帰りだね」

カレ「そうですか？では、失礼します」
おばあさん「今日ゴミの日だったじゃない？お兄さん家のゴミがカラスに漁られていたのよ」
カレ「またですか？うちのゴミだけ？」
おばあさん「そうなの」
カレ「毎回うちだけってなんだかおかしな話ですよね」
おばあさん「この辺にはお兄さんみたいな若い人住んでないから、きっとお兄さん家が食べているものがカラスからしたら美味しいんじゃない？」
カレ「そんなことってあるんですかね？」
あばあさん「あると思うよ」
カレ「まあ、今後も気を付けてみます。失礼します」

そう言ってカレはあの時の出来事を話すことなく家に帰ったそうです。

次のゴミの日。

たまたま私とカレの仕事がまた休みだった。
この日はなんとなく私がゴミを捨てに行き、あの日と同じようにカレはカーテンを開けずにずっと外を見ていた。

「まただよ！」

カレが大きな声を出し、私は急いでカレのところに向かい外を見てみると、あの時と同じでウチのゴミをおばあさんがまた漁っていた。

私は急いでゴミ捨て場に居るおばあさんの元へと向かった。

私「あのー、そのゴミうちのですよね？」
おばあさん「あら、そうなの？」
私「前回もこうやって漁ってましたよね？」
おばあさん「漁ってないわよ！失礼な」
私「今まで何度かカラスが漁ったってうちに言いに来てましたが、本当は毎回あなたがゴミを漁ってましたよね？」
おばあさん「だから違うって」
私「何世帯もの人たちがここにゴミを捨ててるのに、毎回うちのゴミだけカラスに漁られるっておかしいと思ってたんですよ」
おばあさん「だから違うって」