鬼門の場所と人の念
投稿者:cocoro (16)
先輩は、びっくりした様子で、
『えっ!大丈夫?色が白いから、顔色悪いけど日当たりも悪いからかな~とか思っててんけど、やっぱ、調子悪いん??私は、大丈夫やけど。』
と先輩。
『この部屋、前に何かありました?何に使われてたんですか?』と私。
『別に物置やったけど。私が5年前に来た時から物置を改良してずっと使ってるんよ。』と先輩。
『へ~、そうなんですね。なんか、よくないですね、この部屋。長くいられません、私は。何か、いるか、あるみたいですね。実は私そういう感覚が鋭くて。。。そういう話って信じます?』と私。
『えっ!!!なんかおるん??おばけ的なもの?えっえっえっ~~~~~!』とすぐに部屋から出ようとする先輩。
『見えないから、よく分かりませんけど、感覚で感じるんです。そんな、今出なくても大丈夫だと思いますよ。今まで使ってたんですよね?(笑)』と私。
『でも、なんか感じるんやろ?課長にゆっとくわ。オフコンの移動も考えてもらわなあかんし。今日は、この仕事辞めて、違うのしよ!』と先輩に引っ張られて外に出されてしまいました。
次の日、課長に呼ばれ、部屋の話を聞かれ、運よくというか、お化け的なものが怖かった二人が、私の感じたことをまともに信じてくれたおかげで、次の日からオフコンが部屋の外に出され、快適に仕事をすることができました。今でも思うのですが、よく、こんなふざけた話を信じてくれたなあと思います。
先輩は、その後、私が無事に仕事をこなせるようになったのを確認して、辞めていかれました。
その日の帰りに同期の子に話すと、同じ会社の先輩でもある彼氏に話したらしく、知り合いに祈祷師がいるので、休みの日に会社を外からみて、その部屋を霊視してくれることになりました。
休み明け、結果を聞くと、やはり何かがいるそうで、そこで亡くなった霊とかがいるのではなくて、会社で働いている人の陰気(絶望、疲れた思い、イラつき、不安など)の念のたまり場になっているということでした。その部屋の方角も会社にとって鬼門の方角らしく、そこにはいない方がよいということでした。
その友達の彼氏がいうには、私たち新入社員が入る前には、いじめがあって、多くの人たちが辞めていかれたそうです。それに、会社に遅く一人で残業していると、誰もいない実験室の方でガラス器具が割れたり、ゴトッと何かが落ちる音がしたりしたそうです。なので、何かがあるのだろうなとうすうす感じていたのだそうです。
それで、私の話を聞き、御祈祷する人を呼ぶことに決めたそうです。
その方は、お祓いはしたものの、亡くなっている霊を成仏させることより難しい会社で働く人の念が、生霊のようにそこへたまっていくので、念を発する人たちがいる限り、また、すぐに溜まってしまうということでした。
小さな空間を扉で閉じて、換気をしていないのも、念がたまりやすくなる原因となっていたようでした。
確かにその部屋の窓を開けて換気をした人は、今まで一人もいませんでした。
会社の建て方や空気の換気など、いろいろ工夫が必要なのですね。
この会社は、納期納期とうるさく、期間は短く、値段は安く、結果は正確に出せ!といつも小間使いのようにバタバタ働かされていたので、みんな疲れてしまって、長く働く人が少なかったのです。
その頃、家に帰って寝ようとすると必ず、頭の中に直接響く声のようなものが、どこからともなく聞こえてきました。
だれが発しているのかも分からず、男の人の声とも女の人の声とも区別がつかないような、音ではなく思いが届いてきました。
『。。。しぬ。。。しぬ』と。
私がしんでしまうのかな、それとも誰かがしぬのか分かりませんが、必死にその声のような思いは頭に響いてきます。
それは、だんだん、私がしぬといっているのではないことが分かったきたので、いったい誰がしぬのだろうと考えていましたが、家族にも心当たりがありません。
何日か続いたある日、不安になって、誰かがしぬ、しぬっていいよると母に相談したら、母がびっくりして、何でわかったん?聞こえたん?といい、
隣の家のご主人が、ずっと寝たきりになっていて、しばらく死の淵をさまよっていたそうだけど、昨日亡くなられたと連絡が入ったとのことでした。
隣のご主人さんの思いか、その家族の思いのしんでしまう、しんでしまうという恐怖や不安な念が私に頭に届いていたんだなと、その時思いました。
そして、そのご主人さんのご冥福をお祈りしました。亡くなられた次の日からは、ピタっとその思いは届かなくなりました。
生きている人の念の強さを思い知らされた時期でした。そして、心身疲れ切っているということが、マイナスの念を拾いやすくしているということも勉強させてもらった時期でもありました。
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