狐塚のきつね
投稿者:cocoro (16)
あれは、息子が小学5年生の時のことです。
幼馴染のように仲がよく、いつも遊んでいる男の子と二人で公園に遊びに行くといって学校から帰ってきて、すぐ自転車に乗って出て行きました。
Tくんとなら、しっかりしていて、気もよく利くし、安心して遊びにいかせられるわと、私は快く遊びに行かせたのでした。
この頃の息子は、とても優しく、お人好しで力も弱く、小柄だったので、遊びに行ってもおちょくられて帰ってきたものでした。
二人は近所の公園に遊びに行くものとも思っていた私でしたが、子供たちは近所の公園は飽きたらしく、違う校区の公園に行きたくなったそうです。
あまり来たことのない公園巡りを始めました。何か所か回って、喉も乾いたので、近くに駄菓子屋もある公園で休憩をすることにしました。
二人で自転車を止めて、鍵はなくしたらだめだからと、いつも神経質な息子はチャックのついた深いポケットの奥底に鍵を入れていましいた。
そして、公園の下にある駄菓子屋さんに行きました。
そこで二人はジュースと駄菓子を買って、また、公園のベンチに戻り、のどの渇きを潤し、小腹を満たしました。
駄菓子屋のおばちゃんが行くといつもおまけをくれました。
おまけの飴を食べながら、包みの裏を見るとあたりがでました!
めったに出ないあたりに二人は飛び上がって大きな叫び声をあげて大喜びしました。
再び店に戻り、おばちゃんにあたりを見せて、もう一つ飴をもらいました。
今日はついてるね!!なんて言いながら、さっきの公園へ戻ると大きな風が二人に向かってふいてきて二人は目をつぶりました。
急に吹いてきたので二人は目を見あわせて、一瞬びっくりしましたが涼しかったので、いいやと探検しようというということになりました。
ふとみると、今まで気づかなかった公園の中には、雑木林のような丘あり、公園の奥から上がれる小道が続いています。
二人は、新しい遊び場を見つけたかのように、競争してその小道を登っていきました。
その木々がある丘は日影がたくさんあり、涼しそうで木々にはセミやクワガタ、草むらにはバッタやカマキリなどがたくさんいそうだったのです。
1番は誰か競いながら、かけあがりました。1番に到着したのは息子でした。
思った通り、そよ風が吹き、公園の遊具がある場所よりも丘の中にはたくさんの分かれ道があり、どの道へ行っても楽しそうでした。
しばらく、その道をあっちにいったり、こっちにいったりと木々の枝をかきわけ、草むらを探索し、セミをとったり、虫を探したりしてしばらく楽しみました。
暑くなってきたのもあり、もっと涼しいところはないかと探していたら、木の上で鳥が鳴きました。
木登りをしようということになり、見晴らしはいいんじゃないか?なんて言いながら、初めての木登り。
いつもは、木になんて登っていたら、お母さんたちに怒られてしまいます。
ですが、今日は友だちと二人、怒る人はいません。二人はすっかり夢中になり木登りをしました。
案外するすると登れて、木の上から眺める町は最高でした。
『あ~!気持ちええ!』と息子。
『ほんまに~!秘密基地ここに作ろか!』とT君。
『ほんまやな!食べもんとか持ってきて、ここで食べたら最高かもな!』と息子。
『自転車のとこまで取りにいこっ!』とT君。
狐かまってほしかったんかな、かわいい