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心霊

cocoroさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

総合病院は疲れる
長編 2022/08/15 21:33 3,017view
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 あれは、中学1年の時に入院した母方の祖母のお見舞いに行った時のことでした。
祖母は、心臓が悪く、たまに入院をしていましたが、良く動いて、強くてとても優しいおばあちゃんでした。
近くの市民病院に入院したので、母とお見舞いに行こうという話になりました。
病院へ行くのは大嫌いで、行くと、とても疲れる体質でした。
なぜかというと、私は、霊感が強いというよりも感受性が豊かでアンテナが人より優れているらしく、人の念やその場所に残った痛みをいつも拾ってしまうのです。ですから、大きな総合病院のように、毎日、死人が出て、苦痛や嫌なこと、泣きたいことに耐えて生活を送っている人が大勢いる場所は、私にとって地獄のようなところでした。
気合を入れなけば、気分が悪くなってしまいます。

だから、病院へ行こうといわれたときに、一瞬躊躇しました。
ですが、大好きなおばあちゃんが入院したのですから、お見舞いを断ることができません。
心配するので、このことは、母にも詳しくは話していませんでした。
お墓参りのときにも、ちょくちょく体調を崩してしまい、結局お墓参りに来たのにお墓参りをせずに車で一人待機することがよくありました。
母親が霊媒体質であるので、うすうすは気づいていたのかもしれませんが。

 仕方ないので、気合を入れて深呼吸をしながら、学校から帰ってすぐに、母と一緒に市民病院のおばあちゃんが入院している部屋に迎いました。

おばあちゃんは、相変わらずしっかりしていて、シャキッと背筋を伸ばして、病院のベッドの上に座っていました。
それを見て、ぐったりしているおばあちゃんじゃあなくてよかったなあと、ほっとしたものでした。
おばあちゃんも私たちを見て、にっこり笑ってくれました。
私たちは、その相部屋の入院患者さん達に挨拶をしながら、部屋の一番右奥のおばあちゃんのベットのそばに置いてあった丸い椅子を二つ出してきて座り、今の様子を聞き始めました。
 
 しばらくして、ふと、おばあちゃんの足元のベッドが空いていることに気づきました。
誰も入っていないんだなあと考えながら、そのベッドをみていると、母が話し終わって安心したのか、花瓶の花の水を変えに行くと部屋を出ていきました。
おばあちゃんと二人になった私は、おばあちゃんと最近の学校の話をし始めました。
おばあちゃんに、学校はどうや?楽しいか?と聞かれ、
うん、まあまあ。○○姉ちゃんと同じ吹奏楽に入ったんよ。と私。
○○姉ちゃんというのは、おばあちゃんと一緒に暮らしている2つ上の親戚のお姉ちゃんのことで、姉ちゃんが先輩におるから安心やわと話すとおばあちゃんは、そうかそうかと、にこにこしていました。
 

 すると、急に首から頭の後ろにかけて、何やら重くのしかかるような嫌な感じになってきました。
椅子に座っているのに頭の血のめぐりが悪くなったように、視界も悪く、脳みそを圧迫されているようなそして、頭と首の付け根あたりをじわじわとおもだるく頭痛になり始めのような船酔いのような感覚に襲われ始めました。
きたな。と私は思いました。気合を入れなければ負けてしまいます。
深呼吸をして、ふ~っと息を吐きいた後、息を深く吸い込みました。
座っているのがやっとでした。
また、そんな中でも足元のベットが気になって目をやっていると、おばあちゃんが大丈夫?顔が真っ白やで?と声をかけていきました。
顔色が悪くなっていたので心配したようです。
話も中断してしまっていたので。。。
おばあちゃんが、私がベッドから目を離さないのが気になったようで、そのベッドの人な。昨日亡くなったみたいやわ。どうも、頭の病気やったみたいやわ。
 
 なるほどな。そうか、私は納得してしまいました。
どうりで頭がおかしくなるんやね。首から上が自分のものじゃないみたいやし。
変な違和感もあるし、亡くなる前にそうとう頭も痛いし、気分も悪かったんやろうなあと感じました。
呼吸は全然苦しくないのでそこだけが唯一の救いだったんだろうなあと考えていると、母が帰ってきました。

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