私には小学生の息子が2人います。
夏休みになると宿題で絵日記を書くのですが、私は絵日記が嫌いです。
絵日記を嫌いになったのは小学生の時のある出来事がきっかけでした。
私の親は共働きで、夏休みの間はほとんどを祖父母の家で過ごしていました。
祖父母の寝室の横にある和室が夏休みの間の私の部屋でした。
そこには大きな仏壇があり、壁には遺影が並んでいました。
今思えばよくそこで1日を過ごしていたなと思いますが、幼い私は特に何も感じませんでした。
お盆のある日、私はいつも通り和室にこもって宿題を進めていました。
ふと、壁にかかっている遺影に目をやると1番左の写真に写っている女の人の顔が横を向いて笑っているように見えました。
写真がかかっている方ではなく、まだ写真がかかって無い方を見て笑うその遺影は、まるで横に誰か来て喜んでいるように見えました。
その日の夜、祖母に壁にかかっている1番左の遺影は誰なのか聞くと、祖母の姉でした。
私が生まれる前に亡くなった祖母の姉は、祖母ととても仲が良かったらしく、いつも一緒に買い物に行ったり、趣味の手芸を楽しんでいたりしたそうです。
私はその日の出来事を絵に描いて記す、絵日記に祖母と祖母の姉が仲良く手芸をしているところを書きました。
それを祖母にプレゼントとして渡しました。
1年後、祖母が脳梗塞で倒れ帰らぬ人となりました。
祖母の姉が亡くなった原因も脳梗塞でした。
お通夜が終わった夜、冷蔵庫に貼ってある1枚の絵日記に目が止まりました。
日付は1年前の8月8日。
祖母の姉の遺影が横を向いて笑っていた日です。
祖母が亡くなったのは1年後の8月8日。
偶然とはいえ私はとても怖くなり、そこから遺影を見ることが出来なくなりました。
遺影を見ると祖母の遺影が横を向いて笑う気がして、そこから一度も和室には入っていません。
今年の夏も私の息子たちは毎日の出来事を絵日記に記しています。
8月8日、この日の絵日記は祖父が祖母の遺影に手を合わせている絵でした。
その絵日記の中の祖母の遺影は横を向いて笑っていました。
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