短編
2021/02/11
18:53
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体験者 坂田 フミ子 (仮名)
北海道 某所
坂田さんの趣味はバードウォッチングだ。毎週末天気がいい日は必ず山へ繰り出す。80過ぎとは思えない元気なおばあちゃんである。
そんな坂田さんはある日森の中で不思議なものを見た。
「杉林の中にね、ぽっかり木が生えない広場があるの。そこに腰掛けに丁度いい切り株があって、ちょっと休憩してたのよ」
その時坂田さんはポケットから「バードコール」を取り出した。
バードコールというのは、形は様々あるが木製の胴体に金属のボルトが刺さっている、ボルトを回すと金属が擦れ、鳥の鳴き声のような音がする。
バードウォッチャーはこれを使い、鳥達との距離を縮めたり、会話を楽しむらしい。
『キュイ キュイ キュイ』
何とも可愛らしい音が響く。
「そうしてたらね、来たの」
木々の間からゴルフボール大の玉がぷかぷかと寄ってくる。1つ2つとどんどん増える。最終的に10匹ほどになっていた。
「近くで見るとね、ふわふわの綿毛が生えたまん丸い体をしてた。トンボみたいな透明の羽をパタパタさせて飛んでるの」
鳥でも虫でも無いのは明らかだった。坂田さんが唖然としていると、彼等は再び、森の中に帰って行った。
「すごく可愛らしいの。別の日に同じ場所で試したけど、もう出てきてくれない」
「今度見つけたら捕まえようかしらね!」
坂田さんは今日も山へ繰り出す。
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ケセランパセランじゃね?
なんかスニッチ想像した
かわいいお婆ちゃんじゃないと呼べないとか