インフィニティ
投稿者:四川獅門 (33)
坂本さんが大学生の頃の話。彼が住む地区で不審車両による当て逃げや轢き逃げが続出した。
『 お願い◎目撃者を探しています 平成13年8月10日17時00ころ、この場所で乗用車と自転車の交通事故が発生しました。この事故を目撃された方は、左記までご連絡ください』
目撃者を募る看板が、不自然なほど増えていった。
坂本さんはある日サークルの仲間とドライブがてら、肝試しに行った。
その地域では有名な一家心中のあった家だ。
家は山間の僻地にポツンと建っていた。庭は草が伸び放題。窓ガラスはほとんど割られていた。
廃墟の脇の草藪には、廃車同然の黒いセダンが放置されていた。
肝試しを終えた一行が車に乗り混むと、草藪のセダンのヘッドライトがぼんやりと光っている。
「おい、あれ。ライトついてるぞ」
「え……マジか」
一行が呆気にとられていると、草藪のセダンがジワジワと動き出した。
運転席が空なのを見た一行は戦慄した。
「ヤバいって!逃げるぞ!」
坂本さんはアクセルをベタ踏みして、山道を駆け下りた。
「オイ!!アレついてきてんぞ!!」
「うわああああ!!もっと飛ばせ!!」
ミラーには、暗闇の中で光る黒い二つの光が映っている。
得体のしれない低い音が近づいてくる。
次の瞬間、全員の体に衝撃が走った。猛スピードで追突されたのだ。
セダンはそのまま走り去った。
坂本さんの車は、追突の衝撃で木に突っ込んだ。
幸い死者は出なかったが、彼らはむち打ちや打撲を負った。
坂本さんの車は廃車になった。その場所にまた一つ、目撃者を募る看板が立った。
それからその街の当て逃げ事件は収まった。しかし、今度は隣の県で同じような事が起こった。
その黒いセダンは、あなたの街を走っているかもしれない。
Hondaに対する熱い風評被害
御免なさい、日産の間違いでした