お邪魔します
投稿者:四川獅門 (33)
鈴木さんの住む地区には、住民達を困らせる男がいた。
「歳は10代後半くらいでした。多分、心か脳に問題があったんだと思います」
そう鈴木さんは語る。
「いつもグレーのパーカーにスウェット姿で、背が高いし怖いんですよ……」
その男は近隣のゴミ捨て場を漁ったり、公園で奇声を上げて子供たちを怖がらせたり、住民達の悩みの種だった。
ある日鈴木さんが夕食の支度をしていると、『 ピンポーン 』と家のチャイムが鳴った。
足早に玄関の扉を開けると、あの男が全力疾走をする後ろ姿が見えた。
鈴木さんはその足の速さに恐怖を覚えた。
「陸上選手みたいに手をパーにして、必死に走っていって、ゾッとしちゃいました。グレーのパーカーを着た、あの人でした」
その日を境に、ピンポンダッシュが続くようになった。
鈴木さんの恐怖は、怒りに変わっていった。
ある日、外出しようと靴を履いた時だ。
『 ピンポーン 』
チャイムが鳴った。今日は注意してやろうと、勢いよく扉を開けた。
「やっぱりあの人だったんですが━━」
男は驚いて野太い悲鳴を上げた。
『うぎゃああああ!!』
その恐ろしい悲鳴に、鈴木さんは凍りついた。最早注意するどころではなかった。
男は鈴木さんに背を向け、何か叫びながら無茶苦茶なフォームで走り出した。
鈴木さんは恐怖で固まって、男の後ろ姿を見ていた。
家から十数メートル先、住宅街の角からトラックが現れた。
狂ったように走る男は、トラックに轢かれた。
静かな住宅街の道路に、血の染みができた。後に男は死んだと分かった。
その地区は平和になったが、鈴木さんは内心罪悪感のような物を感じていた。
ある日の夜12時頃、鈴木さんが眠りに就こうとしていると、
『 ピンポーン 』
おもしろかった!
理不尽すぎる…
なんで叫び声上げて逃げた?
最初からピンポンダッシュしてんじゃん。
ピンポンの途中で玄関が開いたなら驚くかもしれないが、鳴ってから開けてるなら、いつもと同じだ。
ピンポンダッシュってボタン押したらすぐ走って逃げるんだから、その時背中向けてるのが普通だろ。
ピンポンダッシュやったことないんかな。
↑普通の人じゃないからじゃない?常識は通用しない。