当時高校生だった香川さんは、オカルト同好会に所属していた。
少し霊感が強い彼女は、UFOを呼ぶことが出来た。
「ベントラってご存じですか?」
UFO業界では有名な呪文だ。
『ベントラ、ベントラ。宇宙の我らの同胞よ、聞こえたら合図をして下さい』
夜空に手をかざし、これを唱えるとUFOが現れる。
香川さんは夜な夜な仲間と集まって、町外れの小高い丘でUFOを呼んでみせた。
星よりも大きな光が夜空を飛び回る。明らかに飛行機とは違う、不規則な動きをするそうだ。
「すげー!マジで来たぞ!」
「ほんとにいるんだ……。UFO!」
全員が目を輝かせ、夜空を見上げた。
そんな噂を聞きつけ、同好会に新メンバーが加わることになった。
歓迎会として、夜の丘でUFOとの交信会を開くことになった。
その前夜、香川さんは一人でリハーサルをする事にした。
新人をがっかりさせたくなかったのだ。
小高い丘の上、星空に手をかざす。
「ベントラ、ベントラ。宇宙の我らの同胞よ。聞こえたら合図をして下さい」
1時間ほど粘ったが、UFOが現れない。「次で最後にしよう」そう思ったそうだ。
「ベントラ、ベントラ。宇宙の我らの同胞よ。聞こえたら合図をして下さい」
おぁぁぁぁ……
背後から気味の悪いうめき声が聞こえた。
恐る恐る振り返ると、電灯の明かりにぼんやりと照らされた人影があった。
千鳥足で、香川さんの方へ歩いてくる。
人影が近づく度、徐々に姿が明らかになった。
所々禿げた長い髪。首から下が真っ赤に染まっている。
女だ。
女が千鳥足で歩く度、皮一枚で繋がった首がパカパカと開閉している。
「いやぁぁぁぁ!!」
香川さんは腰を抜かし、丘から転げ落ちた。
丘の下に止めた自転車まで必死で這って、逃げ帰った。
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