小さな神社のおまじない
投稿者:レイレサ (64)
正子さんは泣きたいところを我慢していたようだった。
私は正子さんが可哀相になった。
何とか助けてあげたい。
そうだ、おまじないをしてみよう。
私は本で読んだり人から聞いたおまじないの中で怪我に効きそうなものがないか頭の記憶の中から必死になって探していた。
ふと、ある考えが頭に浮かんだ。
私のポケットには鉛筆が入っていた。
鉛筆の先には可愛らしい絵の描かれたキャップがはめられていた。
一見すると魔法少女のステッキのようだ。
これだ、この鉛筆を使っておまじないをかけよう。
私は鉛筆を取り出すと正子さんに「今からおまじないかけるから少し我慢しててね」と言った。
正子さんも他の子もきょとんとしていたが、私のやることを黙って見ていた。
私は鉛筆をくるくる回して血の出ていた場所にめがけて何かのエネルギーを飛ばすようなイメージをした。
「鉛筆さん、神社の力を吸収して正子さんを治してあげて!」
そういうような言葉を発したように記憶している。
正子さんが驚いた顔をする。
何と、怪我が治っていた。
めくれていた皮が元に戻っており、出血も収まっていた。
それどころか、痛みもなくなっていると言い出した。
怪我した痕跡がなくなっていた。
予想外の出来事に私も正子さんも子供達も驚いていた。
私は帰宅後に怪我やおまじないのことは両親には秘密にしていた。
それをしゃべってしまうと、回転ブランコさんで遊んでいたことがバレてしまうからだ。
正子さんが怪我したことが知られたら、回転ブランコさんで遊べなくなる。
だから誰にも言わない、あの場に居た人だけの秘密にしておこう。
あれから何年も経ち、私は親の仕事の都合で引っ越しをすることになった。
その頃には回転ブランコさんは撤去されており、あの時のおまじないのこともすっかり忘れてしまっていた。
大人になった今ではたまにあの時の体験を思い出しては懐かしんでいるが、あの怪我を治してくれたのは回転ブランコさんに乗っていた神様だろうか?
あの不思議な夢は神様が側に居るよ、というメッセージだろうか?
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