小さな神社のおまじない
投稿者:レイレサ (64)
これは私が小学生の頃に体験した不思議な出来事である。
子供の頃に住んでいたのは辺鄙な田舎だった。
家の近くには無人の小さな神社があった。
その神社には古くて錆びた遊具がひとつだけ置かれていた。
その遊具のことを回転ブランコさんと親しみを込めて呼んでいた。
色は水色だったような気がするが、水色が色褪せたような感じで所々錆ついていた。
少なくとも私が遊んだ時から古かったと思う。
村の大人達は回転ブランコさんは古いからあまり遊ばないようにと注意してくるのだが、子供達にとっては大切な遊び場だ。
大人の忠告など誰も聞くはずがない。
私も両親から「あの遊具は古くて危ないから乗るな」と何度も言われていたが、近所の子と遊ぶにはちょうど良い遊具だった。
親の忠告を無視しで何度も近所の子と遊んでいた。
そんなある日のことだ。
不思議な夢を見た。
神社の回転ブランコさんがひとりでにクルクル回転していた。
誰も乗っていないのに動いている。
風が吹いたんじゃないか?と言われるかもしれないが、金属製の重たいブランコが勝手に動くわけがない。
いつの間にか目が覚めていたので、なぜそんな夢を見たのかすら疑問に思わなかった。
私は何となく回転ブランコさんには神社の神様が乗っているのではないかと感じたが、その話は誰にもしなかった。
しなかった理由はひとつ。
私の家族や近所の子にそういう話をしても信じてもらえないのが分かっていたから。
だから言わなかったし、言いたいとも思わなかった。
あれから何か月も過ぎた。
ある秋のことだった。
近所の子数名と回転ブランコさんに乗って遊んでいた時のことだった。
近所の子の中でも一番性格が大人しくて素直な子である正子さん(仮名)がブランコから転落して膝をすりむいてしまった。
皮がめくれて血がじわーっとにじみ出てきた。
子供達はキャーキャー悲鳴を上げる。
正子さんは涙目になりながらも必死に耐えていた。
正子さんは頭が良くて気が利く優しい子だった。
だから自分が泣いたらパニックになってしまう。
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