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ヒトコワ

レイレサさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

えだまめの思い出
長編 2025/05/08 18:49 1,724view

私が小学生の頃に本当にあった出来事を私の記憶と家族から聞いた話を思い出して記していくことにする。

あれは35年くらい前だったと思う。

当時小学生だった私は朝顔や向日葵などの植物を学校の授業の一環で育てており、毎日毎日きちんと水やりして大切に育ってていた。

ぐいぐいと成長していく植物の姿に感動と楽しみを感じていた。
そのうち夏休みに入り、朝顔も向日葵も立派に花を咲かせて同級生達もニコニコ笑顔を見せている。

とはいうものの、やはり小学生だった私はそのうち開花した植物のことより夏休みは友達とどこに遊びに行こうかなとか、おじいちゃんの家に遊びに行く日のことばかり考えるようになってしまい、段々記憶から薄れつつあった。

・・・時間は過ぎていき、夏休みも終わりを迎えたある日のことだった。
近所の友達の家に遊びに行こうと思い、車庫の中の自転車置き場までやってきた私の目にある物が存在感を放っていることに気が付いた。

肌色の小さな豆粒が数粒、見てくれと言わんばかりに私の自転車の側に転がっていた。
その時は友達と遊びたい一心で豆粒のことをスルーしてしまったのだが、農家の子供である友達に前日の晩御飯に枝豆が出てきたことを自慢されてしまい、私はあの豆粒ってもしかしたら枝豆ではないかと考え始めていた。

18時を過ぎて友達と別れ、自宅に戻ってきた私は両親に豆粒について尋ねてみることにした。
7月頃に近所の方が育てていた枝豆が収穫時期を迎えたことでおすそ分けで貰ったものらしい。

そういえば、時々父が枝豆を食べながらビールを飲んでテレビを見ていたような気がする。
あの時は「私も枝豆食べたい!」と懇願しても、「ダメだ、これはお酒と一緒に食べるものだ」と思いっきり拒否られたことを思い出した。

枝豆いいなぁ、友達は晩御飯に美味しい枝豆をたっぷり食べたのに、私は一粒も食べさせて貰えない。
いっつもお父さんばかりが食べている。
何で私は友達と違うんだろう。
私だって枝豆食べたいのに。

あ、そうだ!
車庫に豆粒が落ちていた。

あれを植えてみよう。
そうしよう!

思い立ったが吉日、庭の一角にちょうど何かを植えられるスペースがあったことを思い出し、そこに豆粒を植えてみることにした。
スコップ片手に土を耕して畑らしい見た目にしてみる。
何となくこんな感じかなと思ったところに拾った豆粒を一粒づつ植えていく。

ジョウロに水をたっぷり入れて、植えた場所に注いでいく。
この時の私の気持ちはわくわくでいっぱいだった。
学校で育てていた朝顔や向日葵のことも思い出す。
毎日大事に育てていれば、きっとこの枝豆も成長して豆をつけるに違いない。
そう期待しながら毎日せっせと水やりと草むしりをしていった。

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