まだまだ事故物件に住んでた時の話
投稿者:ジョンガリ (8)
Cの顔から楽しそうな笑顔が消え、サーッと血の気が引いた顔をしながら俺の方を見た。
当然部屋には俺とCしかいなかった。
園長の娘がゾンビコアラを鈍器で惨殺したシーンで、気まずくなったCは地デジにしますとリモコンを操作し、お笑い芸人たちの笑い声がテレビから聞こえてきた。
俺はとりあえず見てくると言い、ユニットバスを開けたのだが特に変わった様子は無かった。
シャワーも勝手に流れるという話も聞いていたため、水道の蛇口を力一杯捻ってからCの元に戻り、俺たちはグレンリベットを一本空けて寝た。
俺はソファの上で野武士の様に胡座をかいて腕組みをし、背中を壁に預けて寝ていたのだが、真夜中に目が覚めてしまった。
Cの寝息が聞こえないほど静かな部屋だったため、Cが気になりベットに顔を向けると、千と千尋に出てくるカオナシのようなシルエットの黒い影が、腰を曲げてCの顔を食い入る様に見ていた。
俺はこの時本当にびっくりして思わず「うおっ!」と声をあげてしまった。
そうするとその影はこちらにゆっくりと向き、今度は俺の方を見ていた。
正確には顔みたいなものは判別出来なかったのだが、見ているという感じはした。
俺は見てんじゃねぇよと思いながら眉間にシワを寄せて睨むと、黒い影はゆっくりと体の向きを変えて押し入れに消えていった様に見えた。
Cを起こして大丈夫かと問うと、Cは顔が真っ赤でとても寝苦しかったと言った。
首に跡なんかついてなかったけど、やっぱり首を絞められてたのかなという言葉を飲み込み、俺はCに今あったことを話した。
Cは絶望しきった顔をしていたが、俺はCに影は押し入れに消えていったから押し入れを開けさせてくれと頼んだ。
Cは口を開けたまま言葉は発さなかったが首を縦に振ったため、俺はグレンリベットの空きビン片手に押し入れに近いた。
押し入れからカリカリカリという音がした。
俺は音に驚いたが、それよりもCが心配になって振り返って顔を見たら、Cはもう半泣きであった。
俺はビビってはいたが、力一杯押し入れをぶち開けた。が、押し入れに先程の影はいなかった。
中を見回すと上段に衣類、下段に雑貨が並んでいた。
残念ながら俺は野郎の下着に興味を抱けなかったため、下段の雑貨をメインに物色していた。
CはB級映画や葉巻や高級ウイスキーの他にも鉱物が好きらしく、下段の段ボールの中には沖縄の綺麗な砂の入った瓶や、パワーストーンなどがあった。
そのガラクタの中に石の入ったケースがあり、その中の1つにガラスのような、例えるならハリーポッターに出てくる賢者の石のような赤く透明な石があり、俺はそれがとても気になっていた。
聞くところによると拾ってきた綺麗な石をコレクションしてるらしいのだが、この赤い石はつい最近手に入れた逸品という事であった。
俺は呆れを通り越していた。
こいつ大学生にもなってボーちゃんみてぇな趣味してんじゃねぇよとか、百歩譲ってもそれが趣味なら拾った石じゃなくてちゃんとした石をそういう店で買えよとか、
それよりなにより 原因これじゃん…アホなのかこいつは…と思い、そのまま口に出したら青天の霹靂みたいな顔をしていた。
アホらしくなったため、寝ぼけ眼のCに顔を洗ってくるよう言って俺たちはその赤い石を持って外に出た。
こいつの家から少し歩いたところに川があり、そこで拾ったとのことだったので、俺たちはその川に行き石を投げ捨てた。
川からポチャンという音がして、水面が揺れるのを確認してから俺たちはCの家まで戻った。
今回が一番おもしろかったです!
面白怖くてジョンガリさんの作品、大好きです!次回も期待してます
龍角散だった俺って何かと思ったけど留学生ってことかな?
前の前の作品で、著者の大学では「留年確定さん」を略して「龍角散」と呼ぶと書いてありましたよ!
龍角散>ありがとうございます。過去の話から読んでみようと思います。
この人の話は面白いなぁ
笑いどころが多くて怖さは無いけどw