わらう女
投稿者:HOD (11)
何度も目をこすり見直すのですが、やはり女性のシルエットに見えます。
気味が悪くなり、その日は早めに帰宅することにしました。
家に帰り、あれは何だったのだろう、と思いながら、母に心配かけまいと黙っていました。
今日は早かったのね、おかえり、と母が言い、
うん、ちょっと疲れて、お風呂に入るね、と返事して湯船につかりました。
湯船につかっていると、ドアのすりガラスに人影が見え、柳の木のシルエットを思い出し、
飛び上がる勢いでお風呂から出ました。
すると、ドアの前にいたのは母でした。母が妙に緊張した顔で、いま、その、と言いました。
どうしたの?人影かと思ってびっくりしちゃった、と私が言うと、
見たの?!人影!と母が言います。
いや、だから人影と思ったらお母さんだったよ、と返しましたが、
母は、早く服を着て仏間にきなさい、と叫ぶように言いました。
訳もわからず、仏間に行くと、母が正座をしていました。
あのね、いまね、髪の長い女が、と母が口にした瞬間ゾワッと鳥肌が立ちました。
髪の長い女?と私もすぐに聞き返し、実は、今日塾の前の柳の木がなぜか女性のシルエットに見えて、と説明しました。
母は、黙って聞いてくれ、
さっきねお風呂の前で髪の長い女が、ケタケタケタッて感じであなたのほうを指差して嗤ってたのよ、
どすぐろい影のかたまりなんだけど、絶対髪の長い女。嘲笑うかのようだった。
塾がうまくいかないのが心底楽しくて仕方ない、そんな感じで嗤ってたのよ!と母は興奮して半ば叫び声に近い感じになっていました。
私は、柳の木?そういえば、電話も柳の木の近くでうまくいかなかった、そこになにかあるの?
でもどうして?塾をするのに何がいけないの?と疑問だらけでしたが、ずっとトラブル続きだったこと、
塾生が集まらなかったこと、髪の長い女性の存在を私も母も感じたことで、塾を閉める決心がつきました。その後、塾が閉まると、なぜか葬儀屋も閉まりその建物は一階も二階も空室となりました。
塾を閉めると不思議とトラブルも体の不調もなくなり、姪っ子も以前のように私に懐きました。
たったの3ヶ月でしたが、これが変なことばかりが続いた私の塾の顛末です。
その後、別の場所ではじめた塾はスタートからすんなり生徒が集まり、やはりあの場所の建物になにかあったのかな、と思わざるをえません。
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。