足音から始まる一連の出来事
投稿者:HOD (11)
当時私は一人暮らしをしようと駅前の物件を探していました。
駅から徒歩8分くらいのハイツなのに家賃が少しお得で、5階建ての最上階、しかも端の部屋が空いていたので、ラッキーと思いそこに決めました。
引っ越しの日に隣近所へ挨拶に行きました。右隣の人は会えましたが、左隣の角部屋の人には会えませんでした。
繁忙期で仕事が忙しく、朝早くに出て、晩は23時頃に帰宅する毎日でした。
廊下にお風呂が面していたので、シャワーを使っていると角部屋に毎晩人影が通るのがわかりました。
毎夜、ガヤガヤと声がします。
随分と人が来るのだな、毎晩飲み会でもしているのかな、と思っていました。
繁忙期がおわり、20時くらいに帰宅するようになりました。
やはり、角部屋は23時頃から早朝までガヤガヤと騒がしいのです。
さすがに迷惑だと感じるようになり、管理人へ苦情を言おうと思い、部屋番号を念のため確認しようと見に行くと、ドアにガス閉栓のお知らせがあることに気付きました。
空き部屋?と。日付を見るとすでに半年は経っていました。
昨日もその前も毎日、誰かが部屋に入っていく人影と、足音、そしてガヤガヤという音。
なにもかも辻褄が合いません。
その日は一旦思いとどまり、もしかしたら勘違いかな、と確認することにしました。
すると、23時。コツコツコツ、という足音、お風呂の小窓を通り過ぎる人影。
そして、そこからやはり4時までガヤガヤと音がします。もしかして、これって、いや、まさか、と怖くなりすぐにヘッドホンで音楽を聴き、気を紛らわせました。
ですが、やはりもういてもたっても居られなくなり、管理人へ引っ越したい旨を申し出、すぐに次の家を探しに行きました。
帰ってくるなり、管理人から、やっぱりですか、あなたがあの階唯一の住人さんだったのに、と言われ、確認すると、どの部屋も全てここ半年内にガス閉栓のお知らせの紙がありゾッとしました。
足音から始まる一連の出来事は何だったのでしょうか。
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