ふしぎな赤ちゃん

私には弟と妹がいます。

5歳の頃、その日は母が買い物をする間、1人で留守番をするように言われました。

テレビを見ていたらすぐ、と思い快諾したのですが、うとうと、と眠ってしまい、視線に気づいて目を覚ますと窓から黒い影がぬっとこちらを見ていることにびっくりしました。

うちは、5階建ての4階の部屋だったからです。不思議と恐怖はありませんでした。

その影はフォルムが丸っこく、手が小さな感じでした。

本当に、

ぬぅっとこちらを見ている様子だったのを覚えています。

おばけ！と思いましたが、やはり恐怖はありませんでした。

それから1年後、弟が生まれました。

弟はとても可愛く、割と色黒です。

あ！と思いました。あの時、ぬぅっとこちらを見ていた影にどことなくフォルムが似ているのです。

うちに生まれたくて、どんな家かな、と見にきていたのかな、と思うととても可愛く思えました。

それから何十年と経ち、

今度は廊下をパタパタと走り回る音がします。

とても小さな子の歩幅な感じがするのです。

弟のところの子どもはすでに5歳。

パタパタという感じではありません。

また、私のところの子どももすでに小学生。

我が家は一軒家なので、上には誰もいません。

おかしいな、と思っていたら、またぬうっとこちらを覗き込む可愛らしいフォルムが。弟の時と似ていました。

ですが、私も弟もすでに子どもがいましたし、妹のところは不妊治療をしていて産まれる予定はありませんでした。

すると、正月に集まった時に5歳の甥が、赤ちゃんの声がする、と言います。

さらに、高齢の母も、私も実は、と小さな子が走り回る感じがする、と言い出しました。

みんながまたまた、と冗談として捉えましたが、なんと不妊治療していた妹がその2ヶ月後に妊娠したのです。

そして、生まれてきた子はみんなが感じていたようなパタパタと走り回る元気な男の子でした。

5歳だった甥にもとても懐き、本当の兄弟のように仲良しです。こんな不思議なことってあるんだなぁ、とみんなで集まるたびに話しています。