山の神さんと味噌…
投稿者:HOD (11)
短編
2022/07/02
21:28
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私の田舎の話です。私の田舎は、四国地方の山の中にぽつんとある集落にありました。
地元信仰のような感じで、少し山を上がったところに、山の神さん、と呼ばれる小さな祠がありました。
私が子どもの頃に、その小さな祠におみそを備えて、みそくさい、みそくさい、と唱えているおばあちゃんをよく見かけました。私は、何をしてるのかな、と思い、ある日おばあちゃんに思い切って尋ねてました。
おばあちゃんは、みそくさい、と頭に手を組んでかがみながら唱えると、悪いものから守ってもらえる、と優しく教えてくれました。
悪いものって何?と思いましたが、おばあちゃんの雰囲気に、そういうものなんだ、と思いました。
守ってもらうお礼におみそを普段から備えておく、というのが習わしだったようです。ところが、そのおばあちゃん以外にお供えする人はおらず、おばあちゃんが足腰が弱り日参できなくなりました。
やがてその木が祠だとわかる人もいなくなりました。
すると、雨で山の上の池が溢れて洪水しそうになり、みんなが混乱した時に、おばあちゃんが、家の人に、山の神さんが怒っとる、はよ、味噌を備えんか、と言ったそうです。
半信半疑ながら、おばあちゃんの剣幕に気圧され、息子さんがおみそを備え、みそくさい、みそくさい、と頭の後ろに手を組みかがんで唱えたところ、雨がピタッと止み、洪水せずに済んだそうです。それから、地域の人たちで話し合い、祠を立派に再建したそうです。
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