山の祠
投稿者:煙巻 (8)
長編
2022/07/08
21:40
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「…とまあ、そういうわけよ。今度はわしらがそっちに遊びにいくけ、東京を案内しておくれ」
「うん、わかった。楽しみにしてるよ」
爺ちゃんは説明を終えると、俺が爺ちゃん家に行けなくなった代わりに、自分達が遊びに行くと言ってくれた。
まあ、半分は東京観光が目的だろうが、それはそれで面白そうだ。
爺ちゃんの話が本当なら今後も俺に何か起こる事は無さそうだ。
俺は近づかなければ相手も何もしない。
ただ、俺が再びあの地に行けばあいつが俺を探しにくる。
ちょっとしたスリルと背中合わせになってしまったけど、俺は高校生となった今でもピンピンしている。
爺ちゃん達の方も特段変化はないようで、毎年こっちに遊びに来る程には元気に過ごしている。
時折、何故かあの山に無償に行きたくなる衝動に駆られるが、流石に東京からじゃ距離があるから何とか諦められている。
ただ、例えば大人が酒に溺れる様に、中毒者が薬物を止められない様に、俺の中でも次第にあの山に行きたいという気持ちが強くなっている気がする。
俺が大人になり、自由にあちこちを旅行できる様になった時、果たしてこの衝動に抗えるのだろうか。
俺は一抹の不安を感じている。
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こういう王道なの待ってたよ
なんだかんだ
「お前、あそこ行ったんか!」みたいなのってベタかもしれないけど面白い
八尺様的な
そんなに危険なら始めに教えておけよ
あるあるだね
なんかSCPのシャイガイ想像した
この手の話は危険なのに、何故か何も教えずに、
近づくなとか、余計な事は知らなくてもいいとかしか言わんよな。
結果、好奇心から悪い結果になるパターン。
とても良かったです!他の方も、先に教えておけば…と書かれていましたが、逆に教えてしまうとそれこそ好奇心だったり、確かめに行きたい!と思って行ってしまう人のほうが多いのでは?大人だからこそ話半分で聞けることも、子供にとってはそうじゃないでしょうから。
古き良き『〇〇、あそこにいったんか!!』が聞けてよかった