山の祠
投稿者:煙巻 (8)
そして、墓所に辿り着いた俺は、さっそく例の獣道の入口までやって来た。
まるでトトロの所まで繋がっているんじゃないかと思うほどの、人一人がギリギリ通れる幅の狭い道。
俺は近くに落ちていたイイ感じの長さの棒切れを手にして、いざ冒険へ、というノリで獣道に入っていく。
道は進む程に木々の影に呑み込まれていくように暗く生い茂っていくものの、決して行き止まりにはならずに先へと続いている。
明らかに登っている感覚はあるんだけど、生い茂った葉が天蓋となって太陽の傾きも見えず、かと言って振り返っても薄暗い軌跡を辿るだけで、ここが山のどのくらいにあたるのかは全く見当もつかなかった。
暫く黙々と進むと、やがて草木の覆いから解放されて、ちょっとした平坦な空間に飛び出た。
当然手入れされているわけでも無いので草木は鬱蒼と茂っているが、何故だか足場は踝程の高さまでしか成長していない草ばかりで、比較的歩きやすい事に違和感を覚える。
そんな空間の最奥、一際大きな大木の前に随分と草臥れた小さな祠があった。
全長二メートルも無い、瓦屋根に木造りの小さな祠。
全面は格子状の障子の様な骨組みの扉があるが、中は真っ暗でここからでは何も見えない。
こんな所に祠があったのか。
この時の俺の心境はそんな程度だった。
ガサガサと音を立てて祠に近づくと、格子状の扉の網目から中を覗いてみた。
ギラリ。
何かの眼光とも言える残光が一瞬だけ見える。
思わず顔を離して瞬きをする俺。
何か動物でも住み着いているのだろうか。
単純にそう思った俺は、棒を穴に通して中を何度かつついてみる事にした。
今考えればかなり大胆な行為で罰当たりだと反省している。
ただ、俺のこの行動が最悪の結果を生んだ。
グリグリと、何か手頃な弾力のある物体に触れた感じがした矢先、ガタガタガタと物凄い振動で祠が揺れ動いた。
「うわっ」
俺は棒を刺したまま声を上げて飛び退いた。
すると、棒も痙攣する様に小刻みに震え始めると、祠は更にガタガタガタと地震の様に振動し始める。
何かヤバイ。
俺はそう思ってゆっくりと距離を取りながら獣道まで後退する。
もしかしたら狂暴な動物が居たのかもしれない。
もし飛び出てきたらすぐに逃げよう。
そう身構えていると観音開きになっている祠の扉の片側が「ギイ……ギギ…」と不快な音を立てながらゆっくりと開いていく。
やっぱり何か動物が住み着いていたようだ。
こういう王道なの待ってたよ
なんだかんだ
「お前、あそこ行ったんか!」みたいなのってベタかもしれないけど面白い
八尺様的な
そんなに危険なら始めに教えておけよ
あるあるだね
なんかSCPのシャイガイ想像した
この手の話は危険なのに、何故か何も教えずに、
近づくなとか、余計な事は知らなくてもいいとかしか言わんよな。
結果、好奇心から悪い結果になるパターン。
とても良かったです!他の方も、先に教えておけば…と書かれていましたが、逆に教えてしまうとそれこそ好奇心だったり、確かめに行きたい!と思って行ってしまう人のほうが多いのでは?大人だからこそ話半分で聞けることも、子供にとってはそうじゃないでしょうから。
古き良き『〇〇、あそこにいったんか!!』が聞けてよかった