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足が太いさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

バイト先のビルの怪
長編 2022/07/04 20:47 3,838view
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コールセンターでバイトをしていた時の話しです。
そのバイトは朝・昼・夜の3交代制で、私は主に夜のシフトに多く入っていました。
夜のシフトでは21時までバイトに入るのですが、片付けやら何やらしていたらバイト先を出るのは21時半頃になります。
バイト先は駅前から10分ほど歩いたところにあるビルの中にあるのですが、そのビルというのが築40年以上の古い建物なのです。
他の階にも他企業が入っているのですが、夜21時半にもなると人気もかなり少なく、古いビルということもあって夜はとても怖いです。
だから、それもあって夜のシフトに入る人は皆怖がっていました。

私も、そのビルで幽霊を見たりしたことはないのですが、何となく「何か出そう」という雰囲気があって、怖いなと思っていました。
でも、夜のシフトに入れるのが私と他の数人くらいしかいないので、我慢してバイトしていたのです。
そこでバイトして1ヶ月くらい経った頃、いつも通りバイト先を出て駅に向かって歩いていたら、ふと忘れ物をしたのに気づきました。
忘れたのはスマホで、翌日・翌々日はバイトが休みということから、取りに戻ることにしたのです。
一応、そのビルは23時頃まで警備員さんがいるので、難なくバイト先にある休憩スペースの個人ロッカーまで戻り、スマホを手に入れることができました。
その時点で時刻は22時近くで、バイト先のフロアには私以外誰もいません。

怖いのですぐにビルの外に出ようと思ったその時、休憩スペースの外から話し声が聞こえてきたのです。

何を話しているのか上手く聞き取れませんが、どうやら男性と女性の声がします。
「私以外に、バイト先の人が残っていたのかな?」と思って、休憩スペースの扉を開けたのですが、そこには誰もいませんでした。
どこだろうと思ってきょろきょろあたりを見渡していると、いつも仕事をする部屋(電話機器などが置いている部屋)から声が聞こえてきているのが分かりました。
誰かいるなら挨拶だけして帰ろうと思い、その部屋に入りましたが、電気が消えていて真っ暗で誰かいるような感じはしません。
それなのに、部屋の奥の方から男女の話し声が聞こえるのです。

さすがに怖くなって、そっと部屋を出て帰ろうとしました。
しかし足が震えて上手く歩けず、その場にこけてしまったのです。
すると、話し声はピタリと止み、ずる…ずる…という何かがこちらに這ってくるような音が聞こえてきました。
途端にパニックになった私は、上手く動かない足を奮い立たせて、壁に手をつきながら部屋を出て、エレベーターの前まで行きました。
その間も怖くて振り返ることは出来ませんが、ずる…ずる…という何かが這う音が聞こえていたのです。
「アレに掴まるとヤバイ」という本能的な危機感から、エレベーターの「↓」ボタンを必死に押していたのですが、全然エレベーターが来ません。

これでは追いつかれると思った私はエレベーターの近くにあった非常階段で下まで降りることにしました。

バイト先のフロアは5階にあったので、そこから必死に階段を下っていきました。
這う音はずっと後ろをついてきているようで、ずる…ずる…と一定のリズムで聞こえてきます。
涙を流しながらぐちゃぐちゃの顔で階段を下りていたのですが、そこでふと気づいたのです。
明らかに5階分の階段を下りたはずなのに、まだ1階に辿り着かないということを。

非常階段の手すりからチラッと下を見ると、5階の景色から全く様子が変わっていないように感じました。
その間にも這う音が聞こえているので、何も考えずとにかく階段を下がっていたのですが、いつまで経っても1階に辿りつくことが出来ないのです。
「もういっそのこと、ここから飛び降りてしまえば楽になるかもしれない…」
そんな考えが、頭の中を過りました。
それに呼応するかのように、後ろから「落ちちゃえ」「そこから飛んでしまえば」「落ちろ、落ちろ」というあの男女の声が聞こえてきたのです。
その声を聞いた瞬間、イライラというか、ムカムカというか、もう訳のわからない怒りの感情が溢れ出てきました。
そして後ろを振り向いて、「勝手なことを言わないで!」と、感情に流されるままに叫んだのです。

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