20年ぶりの地元で
投稿者:足が太い (69)
先日、思い立って、20年前に住んでいた土地に行ってきました。
引越して以来、一度も訪れておらず、20年も経てば色んな場所が様変わりしています。
懐かしい気持ちと新鮮な気持ちで歩いていると、いつの間にか見知らぬ家の前に立っていました。
その家はこじんまりとした誰も住んでいなさそうな木造の日本家屋で、周りの家が洋風の一軒家だったりマンションの中、どこか異様な雰囲気があります。
「どうしてここに来たんだろう」と、不思議に思いながら元来た道を戻りました。
しかし、何回道を戻っても、いつの間にかあの家の前に立っているのです。
4回も同じことが続いてさすがに怖くなり、震えながらその家に背を向けたそのとき。
後ろでガラガラと引き戸が開く音が聞こえました。
そして、「あれ、○○ちゃん、どうしたの?」と、どこか聞き覚えのある子供の声が聞こえたのです。
(この声は、もしかして○○ちゃん!?)
20年前の同級生の声が聞こえ、一瞬恐怖は消え去りましたが、しかし、ふと冷静になりました。
同級生はここに住んでいるはずありません。
だって、あの子は20年前に…。
「○○ちゃん、遊びに来てくれたの?」
「人違いです!」
耳元で同級生の声が聞こえ、私はハッと我に返ってそこから走って逃げました。
そう、同級生は20年前に事故で亡くなったので、あそこに住んでいるはずないんです。
あれ以来、もうあの土地には一切近づいていません。
きっと嬉しかったのでしょう。
ご冥福をお祈りします。