「こいつ、マジで劣等種なんだよ」
「は? 意味わかんないんだけど」
唐突な暴言に、里美は勇吾を睨みつけた。
俺は、『里美とちょっと険悪になってるから、間を取り持ってくれ』と勇吾に宅飲みに呼ばれた。
俺たち3人は幼なじみだから、俺が適任といえばそうなのだろうが。
でも、少し酒が入っただけでこの暴言――仲直りする気あんのか、こいつ。
そもそも、話し合いをするのになんでハイペースで飲んでるんだよ、こいつら。
「落ち着けって、”劣等種”は言い過ぎだろ、何があったんだよ」
理由を聞けば大したことないんだよ、こういうのは。
「こいつさ、顔を消せないんだぞ。 そんなの劣等種だろ」
勇吾は早くも酔ってるようだ。
「今どき、顔を消して何するわけ? そんなことするの、子供の時だけでしょ」
里美も言い返しているが、『顔を消す』の意味が分からない。
言葉の意味を考えている間も、ふたりの言い合いは白熱し続けている。
酒の勢いもあって尚更だ。
「ちょっと待ってくれ」
大きめの声でふたりに割って入った。
考えても分からないから、直接聞くしかない。
「『顔を消す』って何? 説明してくれ」
俺が意を決して聞くと、ふたりは呆然と顔を見合せていた。
そんな反応をされるようなことか?
「いや……言葉の通りだぞ」
勇吾が右手で軽く顔を撫でると片目が消えて、ただの肌があった。
続いて、鼻、左目――最後に口。
俺は血の気が引く感覚というのを理解した。
反射的に里美の方を見た。
里美は落ち着いた様子で俺の方を見ていた。
言葉の出ない俺は、勇吾の方を震えた指で示すのがやっとだった。
「は? あんたも勇吾の味方なわけ?」
何を勘違いしたのか、里美は険しい表情で俺を睨みつけていた。
勇吾の顔が消えたって伝えたいだけなのに。
























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