先生や周りの友達には「見間違えじゃないか」と言われましたが、私と友達は確かにその姿を見たのです。
着物といっても豪華で煌びやかな着物とは違い、白装束のような真っ白でひらひら揺れる着物でした。
修学旅行中は他の場所も観光して回りましたが、私と友達の中ではその神社が一番印象に残りました。
修学旅行から帰って、翌日辺りからなんだか体が重いような感覚がありました。
「まだ若いのに修学旅行に行ったくらいで、疲れないでよ」と両親には呆れられましたが、本当に自分でも今までにないくらい疲れているような気がしました。
学校に行くと賑やかな友達に絡まれたりして、よりぐったり。
そんな私よりもさらに具合が悪そうな人がいて、それが修学旅行で一緒だった友達なのです。
「どうした?」と聞いてみると、「うん、朝から気持ち悪い」と友達は弱っており、私は心配になりました。
私も体が重かったけど、友達は体が重いだけではなく顔もげっそりして顔色も悪く、見るからに体調が悪そうに見えるのです。
いつも元気で明るい姿が嘘みたい。学校の帰りにはなんとなく修学旅行の神社の話になって、それで「あの女の子なんだったんだろうね」と私は言いました。
すると友達が「実は私…」と急に話出したのです。
なんでも友達はあの場所よりも前に、その子供を目撃したのだそうです。
それが神社に入る前で、狐のお面をかぶった白装束の女の子が「こいこい」とこっちにむかって、手招きしているのを見たそうです。
最初は何かのコスプレかと思って私に話そうと思ったけど、一瞬目を離した隙にその子がいなくなっていて、気のせいだったと思ったのだそうです。
私はそれを聞いて、なぜ友達があのとき私を引き留めたのか分かった気がしました。
なんとなく私はあの日写真を撮ったインスタントカメラを現像してもらいに行きました。
いつもはそんなに急がないのですが、少し胸騒ぎがしたのかもしれません。
そして写真を見てかなりぞっとしたものが走りました。
なぜならその写真は一見何の変哲もなく見えるのですが、よく見たら狐のお面を被った女の子が小さく写っているのです。
最初は後ろの方に隠れるように写っていて、だんだんこちらに近づいてくるみたいでした。
そして、最後に友達と二人で撮った記念写真には友達のすぐ後ろに縋りつくように写っており、私は思わずその写真を取り落してしまいました。
とりあえず友達にも相談してみて、すぐに友達と一緒にお祓いをしてもらいに行きました。
そのときに写真も一緒に持って行って向こうで安全な方法で処分してもらうように頼みました。
それから徐々に体の不調がなくなり、疲れもなくなっていきました。
友達もげっそりした顔から健康的に戻っていき、一安心しました。結局あの神社がどこの何の神社だったのか分かりません。
引率してくれた先生はそれ以降、体調不良で辞めてしまったからです。
あの子がどんな存在だったのか分からないけど、おそらくあのままいたら私たちは危なかった気がしています。
写真を現像して、それからお祓いしてもらって良かったと心から思います。
そして、あの日もし友達があの子を探そうとする私を引き留めてくれていなかったら、私はどうなっていたのだろうという不安に襲われることもあります。
あのいくら調べても見つからなかった不思議な神社はきっとこの世のものではなかったのではないでしょうか。
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