ピッタリくっつく男
投稿者:pams (61)
短編
2022/05/05
23:52
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つい先日のことです。
家事がひと段落し、少し休もうかと思っていると何気なく母が話し始めました。
「今日、駅でエスカレーターに乗った時、前後左右見ても人が一人もいなかったのよ、道路には車もいなくてすごくシーンとしてて。珍しい、こんなこともあるんだなぁって思いながら乗ってたんだけど、途中何か後ろに気配を感じてね、自分の肩を見るような感じで少しだけ後ろを振り返ったら白いワイシャツを来た男性が私のすぐ後ろにピッタリとくっつくようにいるのよ。いつの間に来たのか、足音もまったく無かったし数秒前には誰もいなかったのに。」と言うのです。
母はその時、あまりの近さに財布を掏られると思い、とっさに斜め掛けバックを前に持ってきたそうです。
エスカレーターが一番上まで来て母は降りました。
そしてスッと脇に寄りわざとゆっくり2、3歩歩いたそうです。
その白いワイシャツの男性に追い越してもらうために。
しかし、聞こえるのはエスカレーターの機械音だけで見てみると後ろには誰もいなかったそうです。
ホームにも人が一人もおらず、まるで自分だけ異空間に取り残されたような気持ちになったと言っていました。
そのまま茫然と歩き、家に着いて私の「おかえり」と言う声でホッとしたと言っていました。
あの男性はいつ来ていつ消えたのか。いくら考えても分からず不気味な体験だったと言っています。
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