誰も覚えていない学校一の秀才
投稿者:pams (61)
短編
2022/05/01
10:16
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私の姉が中学生の頃、学校一秀才だと言われる男子生徒に恋をしていたそうです。
しかし、彼のことが好きだと周りに公開した時のこと。
同じ小学校だったはずの人でさえ彼の家の場所を知っている人がいませんでした。
彼のことで唯一分かったのは誕生日が4月1日のエイプリルフールだということだけ。
家の場所や家族構成、趣味なども彼と仲の良い友人を含め知っている人がいませんでした。
しかし、姉はダメ元で彼に告白し、交際に至ったそうです。
交際をしてからはお互い高校進学、大学進学、就職で別々の地に移り、遠距離恋愛をしていたそうです。
連絡は週に数回の電話だけ。
社会人になって落ち着いた頃には結婚もしたいと話していたそうです。
彼と中学卒業から7年ぶりに会う約束をした春の日のこと。
彼は約束場所に現れず、連絡もとれなくなったそうです。
姉が同級生の友達に連絡をし、彼のことを話した時。
「そんな人いたっけ?」「誰?」と誰の記憶にも残っていなかったそうです。
卒アルにだけ残っている彼の顔写真。
恩師に尋ねても「あれ?誰だっけ。」と彼のことは覚えていなかったそうです。
姉は現在、職場で出会った人と交際して結婚の話も出ています。
「あの時の彼のことが未だに謎なの。」と、思い出話として語ってくれました。
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