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都市伝説

足が太いさんによる都市伝説にまつわる怖い話の投稿です

見たことがある「人面犬の顔」
長編 2022/04/19 23:49 4,287view
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つい最近、小学生の時に仲が良かった友達Aと偶然会う機会があり、そこで「人面犬」の話しが出ました。
人面犬とは、顔が人間、体が犬で、言葉を話すことが出来る妖怪というか都市伝説みたいなものです。
私と友達Aは小学生の時に人面犬を見たことがあり、「懐かしいね」「びっくりしたよね」なんて話して盛り上がりました。

友達Aとは「また今度ゆっくり話そう」と連絡先を交換して別れ、家に帰ってひと息ついた時にふと思い出したのですが、そういえば私と友達Aが見た人面犬は、同級生Bちゃんの顔をしていたのです。
Bちゃんの顔をした人面犬を見た翌日、Bちゃんは事故に遭い、亡くなりました。
そこまで思い出して何だかやけに嫌な予感がしたので、それ以上は人面犬について考えたくなくなり、忘れることにしました。

それから1週間程、仕事が忙しいこともあり、すっかり人面犬のことは忘れていました。
残業してすっかり遅くなり、疲れた体を引きずりながら家まで帰っていた日のこと。

もうあと2、3分も歩けば家につくというところで、後ろからヒタヒタヒタ…という軽い足音が聞こえてきました。
気配的には犬か猫かなと思い、そっと後ろを振り向くと、そこには予想通り1匹の犬がいたのです。

見た感じ、柴犬に似た犬種で、体ははっきりと見えるのに、顔の部分は何故かよく見えません。
(首輪を付けていないし野良犬かな?それにしては毛並みが綺麗だな…)

そんなことを思いながら、無性に犬の顔が気になった私は、スマホのライトを点けて顔の辺りを照らしてみました。
すると、顔の部分が犬ではなく、人だったのです。

「うわぁっ!」

叫びながら後ずさりをすると、後ろに下がった分の距離を詰めるかのように、人の顔をした犬が近づいてきました。
さっきまでよく見えなかったのに、今はやけにはっきりと顔が見えます。
犬の顔は、先日会った友達Aの顔をしていたのです。

友達Aの顔をした犬は、あまりの恐怖に固まって動けないでいる私の足元までトコトコと犬の手足で歩いてきました。

そして私の顔を見上げて、「ねぇ、○○(私)ちゃん、助けて、体が、体が元に戻らないの」と、涙を流しながら訴えかけてきたのです。

友達Aの涙を見て、一瞬同情心が出てきましたが、私にはどうすることも出来ません。
恐怖心の方が勝っていたこともあり、「わ、私には何も出来ないから!」と言い逃げして、走って家に帰りました。

急いで家の中に入って玄関の鍵を閉め、這うようにリビングまで行き、そこでやっと安心することができました。
そして幾分か落ち着いたからか冷静になった頭が、思い出したくないことまで思い出してしまったのです。

そう、小学生の時にBちゃんの顔をした人面犬を見て、その翌日にBちゃんが亡くなったことを…。

もしも人面犬の顔が、これから死ぬ人の顔なのだとしたら、友達Aは明日亡くなることになります。
それに気づいてすぐ友達Aに電話すると、友達Aは夜中なのに電話に出てくれました。

私は焦る気持ちを抑えながら、さっき友達Aの顔をした人面犬を見たこと、明日は十分気を付けて欲しいことを伝えました。
友達Aは「いきなり何の話し」とか「怖いこと言わないでよ」と、最初は訝しがっていたのですが、同級生Bちゃんのことを思い出して、最後には「わかった、気を付けておく」と言ってくれました。

これで安心とは言えませんが、友達Aが気を付けていれば、きっと不幸は避けられるはずだと思っていたのです。

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