音を立てる落ち武者の霊

これは東京都内有数の心霊スポット、八王子城址で体験した出来事です。

高1の夏休み、クラスの友達と一緒に肝試しに訪れました。このあたりは人家や常夜灯が殆どなく、一際濃い暗闇が漂っています。

いざ鳥居をくぐった瞬間、背筋に悪寒が駆け抜けました。正直この時点で引き返したくなったのですが、空気が読めないヤツと思われるのが嫌で気後れします。

縦一列に並んで山道を登っている時、ガシャン、ガシャンと甲冑の鳴る音が近付いてきました。

「今の聞いた？」
「空耳じゃないよね」

友達の顔色も一様に青ざめています。
がしゃん、がしゃん、がしゃん……甲冑が鳴る音はさらに大きくなり、恐怖が臨界点に達した私たちは一斉に逃げ出しました。身を翻す間際に私が目撃したのは、木々の影からこちらを睨んでいる落ち武者の霊でした。その後ろに大勢の女子供がたたずんでいます。

一体あれはなんだったのでしょうか？
戦国時代の合戦で命を落とした兵たちが、今もまだお城を守っているのでしょうか。