砂場のデスマスク
投稿者:繭 (42)
短編
2022/02/16
23:12
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私が子どもの頃よく遊んでいた公園で体験した話です。
当時うちの近所には児童公園があり、小学校が終わると毎日夕方まで遊んでいました。
ある日の夕方、友人を見送って帰り支度をしていた所妙なものが目にとまりました。
「なんだろこれ」
砂場の中央がぼこりと窪んでいるのです。
不思議に思って注意深く歩み寄った所、その窪みに目鼻の形が浮かび上がってきました。
まるで誰かが砂に顔面を突っ込んだような……
しかし周囲には誰もおらず、気味が悪くなり逃げ帰ろうとした矢先、ギュッと足首を掴まれました。
「きゃっ!」
鋭い悲鳴を上げて転倒するや、足が砂に飲み込まれていきます。
「助けてお母さん!」
「どうしたのAちゃん、大丈夫?」
大声を上げて助けを呼ぶと同時に、ちょうど前の道を通りかかった同級生のお母さんが飛んできてくれました。
間一髪助かった私は、今しがたの体験をたどたどしく訴えましたが、友達のお母さんは笑うばかりで本気にしてくれません。
「これが証拠だよ!」
痺れを切らして砂のデスマスクを指させば、友達のお母さんはきょとんとしました。
「何もないじゃない。夢でも見てたのよ、きっと」
もちろん夢なんかじゃありません。
その証拠に一週間後、公園の砂場で小学校低学年の子どもが死亡しました。
死因は窒息死。口と喉にはぱんぱんに砂が詰め込まれていたといいます。
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