だから彼は爆弾を作る

私が高校生の頃の話です。
私は幼い頃から内気で引っ込み思案で要領が悪く、小学校に上がった頃からずっといじめられていました。
陰湿ないじめは中学に上がってからも続きます。ものを隠されたりノートを破かれるのはしょっちゅうでした。

しかしいじめられっ子は私一人ではありません。同じクラスの男子・Sも、ふざけて殴られたり蹴られたりいじめの標的にされていました。
一応女子の私は、男子の暴力こそ受けずにいたのでその点は幸運だったと思います。
Sもまた思い悩んでいたようで、中2の時には一回家出をし行方不明になった事がありました。

数年後、高校生になった私は下校中の電車内で偶然Sと再会しました。彼とは別の学校に進んだので、中学卒業以来交流がありません。

無視するのも不自然なので当たり障りない近況を交わしていた矢先、突然Sが言い出しました。

「お前、中学校の時いじめられてたろ」
「あ、うん……」
「俺もいじめられてたからさ。いじめっ子に爆弾を送り付けようと思ってるんだ」
「え？」

聞き間違いかと思いました。Sはニヤニヤ笑っています。

「お前の分も作ってやるよ。殺したいヤツの名前言ってみ」
「わ、私はいいよ……それじゃ行くね」

私は曖昧にごまかして駅に下りました。

特に報道はされていないのでSは実行には移していないと思うのですが、あの時のニヤニヤ笑うSの顔が頭から離れません。