家の周りを回る人
投稿者:pams (61)
短編
2022/02/01
10:14
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父方の実家はとても山奥にあります。冬はものすごく寒く、夜も眠れないほどです。
そんな場所なので数えるほどしか行ったことはなく、思い出はあまりありませんが不思議な経験をしたことは覚えています。
私が小学5年生の頃、祖母がなくなり葬儀で両親と一緒に父方の実家へ行きました。
その夜はそのまま泊まり、北側の和室で眠った時のことです。
ふと目が覚めあたりを見回しますが、田舎なので夜はシーンとした静寂に包まれています。
コンビニもスーパーも外灯すらありません。真っ暗な中、キーンという耳鳴りだけが聞こえます。
すっかり目が覚めてしまい、じっとしていました。
この和室の窓は摺りガラスなのですが、カーテンの隙間から何か気配がします。
真っ暗なのでそういう気がするだけだろうと思いましたが、気になって見ていると窓のすぐそばの植物が揺れました。
風ではなく何かが通スッと何かが通ったのが分かりました。
不思議と恐怖はなく、正体を知りたくてカーテンを少し開けて再び布団に入りじっと窓を見ていました。
はやり植物がカサカサと揺れ、そのあとに何かが通り過ぎています。
摺りガラスなのではっきりとは見えませんが、それは猫や犬などではなく完全に人だと確信しました。
なぜなら、かすかに枯葉を踏むざっざっという足音がするのです。間隔がほぼ一定でこの家の周りを回っているようでした。
未だにあれは何だったのかは分かりません。
暗闇で起こった不思議な経験でした。
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