廃屋で鬼ごっこ
投稿者:赤壁二世 (13)
まじまじ見やれば目などあるはずもなく、俺は先ほどの人影のこともあり自分の視力を疑い始めた。
「何もねえし、何もでねえな」
Aが窓辺に立ち寄って外をライトで照らしている。
BもCも思いのまま室内を見て回り、天井や畳のシミが怖いだの楽しそうに喚いていた。
この部屋に収穫になりそうなものがないとわかりAを先頭に廊下へ出た時だった。
「誰だ!」
突然Aが大声を上げ勇み足で廊下へ飛び出して前方にライトを向ける。
俺は何事かとBとCと顔を合わせた後、飛び出したAの背後からAが照らすライトの先を凝視したが何もないのか光が闇に溶けていく切れ目が見えるだけだった。
「驚かすなや」
「誰かおったん?」
Bが冗談交じりでAの肩を壺が割れないくらいの力で軽く殴る。
俺は人影と目のことが過り、Aに事情を聞いてみた。
「んー、何か人影が通り去ったような気がしたんだけどな」
「はあ?こんな暗いのに見えたんか?」
口をムの字に結んで腕組みをするAに対して、Bは最もな意見を述べた。
夜行性の動物でない限りこの暗闇の廊下で、仮に人が居たとしても判別できるわけがない。
肝試しらしい淀んだ空気が周辺を包んでいく気配に、Cは鳥肌が立ったのか両腕を摩りながら「質の悪い冗談はやめてくれよ」と懇願するようにぼやいてた。
そして、雰囲気も出てきたので次の襖を開けるときは誰が先頭に立つかじゃんけんで選出するルールを決め、今回はCに決まった。
半ば本当に嫌そうで泣くんじゃないかと思っていたが、存外思い切りがいい性格なのかスッと襖を開けて中に入った。
後へ続くとさっきの部屋と変わり映えのしない和室。
縁側の小さな観賞ルームみたいな空間に誰かがいるような気がして、俺はライトを向けた。
「うおおおっ」
俺がライトを向けたのだが、先にCの悲鳴があがる。
全身真っ白な出で立ちで中年太りした体系の何者かを俺のライトが照らしてしまい、既に部屋の中心にまで踏み込んでいたCが俺よりも先に見てしまったようだ。
Cの声に気づいたAとBも俺が固定したまま動かさなかったライトに照らされる謎の人影を見て悲鳴を上げる。
AとBの慌てた足踏みの音を背後に、俺は硬直したままのCの肩を強く引いて一緒に部屋を飛び出す。
AとBが廊下の中心にある広がったフロアまで走って逃げるので俺も後を追った。
二階の中心にあるこのフロアは一階と吹き抜けになっていて、一階のロビーを一望できるのと同時に、頑張れば飛び降りられる高さだった。
そのフロアに差し掛かったところでAが振り返って俺とCが付いてきているのを確認し、Bも立ち止まって息を整えていた。
俺とCも突発的なことで何が何だか頭が追い付いていないが、白い恰好の何かから逃げてきたという事実だけは認識できている。
妖怪化した霊とかかな
面白かったです
小説読んでるみたいで面白かったです
創作だろうけど、なかなか鬼気迫るものがあり、読ませる話だ。
現実問題として、廃屋に無断で入ると不法侵入になるので注意が必要。どうしても入りたいときは自治体の許可(特殊な見学)を取って、昼間に探索するのが得策。大抵は許可が下りないが、うまく行けば下りることもある。
しかし、廃屋廃墟探索は素人はやるべきではない。
情景が詳しく書かれていて想像しやすくて面白かった
押し入れの話の中でも面白かった
うわー怖い
今までで一番怖い話だったかも