廃屋で鬼ごっこ
投稿者:赤壁二世 (13)
「ヤッベ、あれ見たか?」
「おまえも見たん?」
Aが興奮気味に話すと、Bも口を揃えて事実確認する。
どうやらこの場の全員が見えていた事で、俺は少し安心した。
とはいえ、あれはなんだったのか解明できない内は得体の知れぬ怖さがある。
Cも床にしゃがみ込んで「ヤバイヤバイ」と震えていた。
Aは俺達が逃げてきた方へライトを向ける。
逃げてきたと言ってもここまで二十メートルもない距離だ。
もしあれが追ってくるならあの部屋から出てくるだろう。
「…追ってくる気配ねえな」
「てか、あれ幽霊か?人じゃね?」
Bが人間の可能性を示唆したところで一瞬沈黙に包まれたが、それはそれで恐ろしい。
なぜこんな何もない廃屋に人がいる?
ホームレスの類か?
それとも犯罪者が逃走の傍ら雲隠れしているとか?
犯罪者については肝試しに使われる有名な場所を塒にするなど考えづらい。
浮浪者の類もこんな食糧のない場所に移り住むだろうか?
様々な考察を頭の中で考えていると、不意にAが「おい」と声を潜めて呼びかける。
全員が無言で反応して、固まったままのAが向けるライトの先へと目を凝らす。
白塗りの顔が器用に部屋の梁からにゅっと飛び出してこっちをうかがっていた。
Aがじりじりと後退しているのがわかり、俺達もいつでも逃げられるよう腰を浮かした。
白塗りの顔はスーッと漂う様に廊下へ姿を現す。
「逃げろ逃げろ!」
Aの合図で俺達は廊下を突き進む。
とはいえ、相手はあんなにゆっくり動いているんだ、何をそんなに急ぐことがある。
と、バカな俺は余裕を浮かべて後ろを振り返る。
が、俺の読みに反して、白い恰好をした奴は両腕を広げた体勢のまま小走りする速度で追ってきていた。
そして、「ホホホホホホホホホホホホホホホ」と連続する独特な発声を繰り返しながら顔面を左右に高速で震わせていた。
「うわっ、わッ!やっべ!」
根源的恐怖から取り乱しながらも、俺は最後尾でA達を追いかける。
床が抜けようが構わんと思いながら階段を一段飛ばしで駆け下り、踊り場を抜け、一階へ到達。
何を思ったのか、正面にある暖簾掛けされた大きな入口に先頭のAが入ったものだから、後続者もカルガモの子供のように後を追った。
勿論、俺も吸い込まれるようにして入り、そこが脱衣場で、その先は浴場だと知る。
妖怪化した霊とかかな
面白かったです
小説読んでるみたいで面白かったです
創作だろうけど、なかなか鬼気迫るものがあり、読ませる話だ。
現実問題として、廃屋に無断で入ると不法侵入になるので注意が必要。どうしても入りたいときは自治体の許可(特殊な見学)を取って、昼間に探索するのが得策。大抵は許可が下りないが、うまく行けば下りることもある。
しかし、廃屋廃墟探索は素人はやるべきではない。
情景が詳しく書かれていて想像しやすくて面白かった
押し入れの話の中でも面白かった
うわー怖い
今までで一番怖い話だったかも