手を振って踵を返したM子の流れるような長髪を見届けて、俺は受け取ったお菓子を見つめる。
何となく包みを開けると、ノートの切れ端が入っていて、小さな可愛らしい文字で「この中に当たりが入っているよ」と書かれていた。
こういう小さな悪戯心がM子の魅力だと改めて思う。
夕飯後、自室で宿題を終わらせてぐうたらしていたときのこと。
俺はM子のクッキーを思いだし、小腹が空いたので早速頂くことにして包みを広げた。
甘い香りが鼻孔をくすぐり、食欲がわいてくる。
ハートやらダイヤやら様々な形のクッキー。
俺は中でもアンブレラのクッキーに目を奪われて、つまみ上げていた。
最近まで忘れていた忌まわしき傘。
しかし、今の俺にとってはM子との思い出の傘だ。
俺の口より小さなクッキーを一度に頬張り、咀嚼していく。
程好い甘さとサクサクの食感がちょうどよく、何より旨かった。
さすがM子だ、と思った矢先。
ガリッ
ん?卵の殻か?
M子にしては凡ミスだな、可愛らしい失敗もするんだ程度に思いながら音の正体を口内から取り出した。
「えっ」
爪の欠片だった。
一瞬思考が停止した。
クッキーに爪が入ってる意味がわからないし、M子がそんなことをする理由も思い付かない。
辛うじて、調理中に怪我でもしたのかと思ったが、特に絆創膏をしたりといった外傷はないように見えた。
俺は他のクッキーも割って確かめてみたが、どうやらアンブレラ型以外に異物混入の様子はない。
俺は、おっちょこちょいなM子の一面が見れただけという楽観的な結論を出した。
だが、その日以降俺の日常は崩れる。
夢にF子が現れるようになった。
俺が佇んでいるだけの空間から始まり、俺は普段通り学校生活を送っている。
ただ、黒いぼやけた人影が常に俺の隣を陣取っているかのようにぴったりとくっついて行動している。
最初はM子かな?と思ったのだが、目を凝らして見てみると、それは歪な表情を浮かべたF子だった。
F子は「やっと一緒」と鍵盤のような歯を見せて笑う。
悪夢から目を覚ました後も、俺はF子の声が聞こえているようで時折周囲を確認する癖がついた。
誰もいない事に安堵するが、やはり脳内でF子の笑い声が鳴っている気がして目眩がする。
女って怖いですな。
めちゃくちゃおもしろかった!!!
これはめちゃくちゃ怖い 一番怖いのは人間の感情だというものがわかる
当たり屋やんけ!
女ってって言わないでよ。女だけどこんな逆恨みストーカー女と一緒にされたくないわ。
でも、自分は別に好きじゃないんでしょう?どうすれば良いんだろうね
一方的に好きになって一方的に恨むってとんでもないとばっちりやな
そういや昔クラスのブスに好かれて困ってるみたいなスレが2ちゃんでよく立ってたな。あれ今で言うチー牛の妄想だったんだろな