アパート二階の足音に耐えかねて注意しに行ったところ
投稿者:くま (10)
数年前まで住んでいた安いアパートのことです。
そこは、もともと専門学校の学生寮として使われていた建物ですが、専門学校自体がなくなり、その後、アパートとして使われてきました。築40年はたっていると思われ、床は柔らかくてところどころ抜けそうで、ほか、いろいろと問題のある物件ではありました。
諸事情で、早急にこのあたりで住処を見つけなくてはならなかったわたしは、めぼしい案件を当たりまわり、この物件を見つけました。場所が望ましいのと、なんといっても安いのとで、「大丈夫かな」とは思いましたが、決めてしまいました。
しかし、このアパートは変でした。
空き室が多く、わたしの部屋は一階だったのですが、真上の二階は誰も住んでいなかったはずです。
ところが、たまに真夜中になると、ぎしぎしと歩くような音が天井から聞こえてきました。
最初、変質者かな、と思いました。非常に不用心な話ですが、このアパートは管理がきちんとしておらず、空き室も解放されたままになっているので、誰でも自由に出入りすることができるのです。
怖いなあ、と思いましたが、やはり、夜響いてくる音には耐えられません。
ある晩、またぎしぎしと派手に軋みました。仕事で疲れていて、やっと寝ついたところを音のために起こされてしまい、とうとうわたしは腹を立てました。
万が一のことを考え、防犯ブザーを持って二階に上がりました。外付けの階段だったので、こんこん音が響きます。この時気づきましたが、夜に二階に人があがる場合、こんな音がするので気が付かないわけがないのです。
(やっぱり変だ)
問題の部屋は、やはり鍵があきっぱなしで、するっと開きます。
真っ暗な部屋の中には誰の気配もありません。玄関にも、靴などありません。たぶん、本当に無人なのです。
それでも念のため、「階下に音が響くので、静かにお願いします」と、大きな声で言いました。
しばらくして、「わかりました」と小さな声が聞こえました。
耳を疑い、立ち尽くしました。そこは、簡単な造りで玄関から居間、和室まで一目で見渡せるようになっています。見た限り、本当に誰もいないのです。
怖くなって帰りました。
その後、二階から変な音がすることはなくなりました。しかし、あの「わかりました」は何者の声だったのでしょうか。
確認する勇気がなかったことが悔やまれますが、あれ以上中に入りこまなくて良かったのではないか、とも思います。
本当に何者だったのでしょうか?
でも素直に聞いてくれて良かったですね、例え霊だとしてもいい霊なのかも知れません、以外にもいい霊は素直に聞いてくれます。
素直な方で良かったですね