「今、こっくりさんやってたよね？」

今から10年以上前、中学校で起きた話です。同じ町の小学生の男の子が、親に殺されて亡くなりました。その男の子と同じ小学校の先輩にあたる女の子Aが、私の同級生でした。

Aは霊感があり、クラスは1組で廊下の一番隅っこの教室で授業を受けていました。
私と友達数人は7組。その頃、こっくりさんにはまっていて、昼休みだろうが放課後だろうが、先生に見つからないように遊んでいました。

その時期、Aが霊感があるということを知りました。なんでも、あの亡くなった男の子の霊を見たことがあると言うのです。校庭で、大好きだったサッカーをしていたそうです。

私たちはある日の昼休み、教室が使えなかったので洋式トイレの個室の、タンクの上でこっくりさんをやりました。
指で抑えたお金が、紙の上で動きました。

もちろん、今までも動いたことはあったのですが、どうせ誰かが指に力を入れて、滑っているのだろうと思っていました。

すると、誰も流していないはずなのに、水がジャーと流れました。

私たちは怖くなって、キャー！と叫んで個室から出ました。そのまま廊下に飛び出ると、Aが、まるで駆けつけたように息を切らしてそこに立っていました。

Aの教室は1組のはずなのに。どうしてこんなところまで駆けてきたのだろうと思いました。
Aは私たちに忠告するように言いました。

「今、こっくりさんやってたよね？」

私たちはびっくりしてお互いを見て、「うん、なんでわかったの？」と聞き返しました。

「わかるんだよ。お金、紙の上で動いたはずだよ。霊が来てたからね。あの、〇〇小の亡くなった男の子の霊が。」

冷たい汗が、背中を伝うのがわかりました。