パチンパチン
投稿者:こはる (15)
短編
2022/04/05
23:39
897view
私が中学生の時の話です。
母のお姉さん、私の叔母にあたる人が癌で闘病中でした。
実家の近くの病院に入院していたため、私もよく入院先には行っていました。
叔母は手先がとても器用で、私が幼い頃からよく洋服を作ってくれました。
ワンピースやスカート、鞄も。よく自由研究も一緒にあみぐるみ等を作ってくれました。
叔母の指先はいつも綺麗でマニキュアをしていました。
優しい叔母が大好きだったので子供ながら弱っていく叔母を見ているのもつらかったです。
ある日叔母が危篤ということで深夜病院へ急ぎました。
もうダメだ、という段階で私たちは到着し、叔母は家族に見守られながら旅立ちました。
その後のことはあまり覚えていませんが、家に着き、眠りにつこうとしましたが、あまり深くは眠ることが出来ませんでしたがパチンパチン、という音がドアの外から聞こえて来ます。
一定のリズムで、パチンパチン。私は自分の部屋で寝ており、父母の寝室は離れたところにあり、だれもいないはずでした。
翌朝、母にそのような音がしたことを伝えると母は言いました「おばちゃん、爪切って欲しいって言ってた…」と。
いつも身ぎれいにしていた叔母なので、心残りだったのでしょうか。
前のページ
1/1
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 5票
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。